伊フィレンツェ市、民泊のカギ受け渡し用ボックス設置やガイドの拡声器使用など禁止へ、新たなオーバーツーリズム対策で

イタリア・フィレンツェ市は、2024年11月13日から開催されている初のG7観光大臣会合に合わせて、新たなオーバーツーリズム対策を発表した。歴史的中心部では、短期宿泊レンタル(STR:short-term rental/民泊)物件の所有者が宿泊者に部屋の鍵を渡すために設けられてきたキーボックスの設置、ツアーガイドによる拡声器の使用など禁止する。承認された新たな対策は全部で10項目。

フィレンツェ市では、キーボックスは増えすぎた観光客に対する住民の怒りの象徴になっている。最近では、市民がキーボックスに赤いバツ印を貼るなどの抗議活動も起きていた。

イタリア国立統計局(ISTAT)によると、2023年のイタリアへの訪問者数は1億3400万人と過去最多で、宿泊者数はのべ4億5100万人。ホテル以外の宿泊施設を選んだ訪問者の数は、2022年と比較して約17%増加したという。

フィレンツェ市は昨年、地元住民の流出を食い止めるため、中心部でのSTRの新規開設を禁止すると発表。中央政府に対して、STRの貸出日数を年120日に制限する特別規制の導入を繰り返し求めている。現在のところ、イタリア国内でSTRの制限が認められているのはベネチアのみだ。

イタリアのダニエラ・サンタンチェ観光大臣は、一部の人気都市がオーバーツーリズムに苦しんでいることを認めたものの、イタリア全体としては観光の潜在力をほとんど生かしきれていないとして、さらに年間5000万人の観光客が必要だとの見解を示した。

また、サンタンチェ大臣は、イタリアが世界第4位の観光国にとどまっていることを嘆き、「イタリアの観光産業はさらに発展し、真の主要産業になることができる」と付け加えた。

※本記事は、AP通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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