ブッキング・ドットコム(Booking.com)は、このほど2025年の9つの「旅行トレンド予測」を発表した。冒険を求めるベビーブーム世代、空港での体験を重視するミレニアル世代・Z世代など、2025年は旅行のあり方が一新すると予測している。調査は2024年7~8月に、今後2年以内に出張、レジャー目的で旅行に出かける予定のある成人を対象に実施。日本を含む33カ国・地域、2万7713名の回答を分析した。
ブッキング・ドットコムが示した2025年のトレンドは、「宇宙を体感する“ナイトツーリズム”」「長寿を得る没入型リトリート旅」「個の欲求を満たすAI活用の旅」「多世代で紡ぐ、心に刻む旅」「男性”同志”、ウェルネスと自己啓発の旅」「シニアの枠を超えてスリル満点な冒険への旅」「見えない細部のニーズをテクノロジーで形にする旅」「ヴィンテージを楽しむ旅」「空港を旅程の一部として楽しむ旅」の9つ。
SNS「タグ付け」への意識に世代間ギャップ
このうち、「個の欲求を満たすAI活用の旅」については、世界の旅行者の41%、日本は26%がAIを活用して旅行を計画することに興味をしている。
そして、旅行者の多くがテクノロジーを責任ある使い方をしたいという視点を持つと指摘。世界の旅行者の44%(日本の旅行者は63%)が、SNSによる観光客の集中が発生することを避けるために、あまり知られていない目的地を訪れる際は、ソーシャルメディアで場所のタグ付けをしないと回答。一方で、Z世代の47%とミレニアル世代の44%は「場所をタグ付けできないのであれば、その目的地を訪れることを考え直す」と回答した。
世界各地でオーバーツーリズム問題が叫ばれるなか、若い世代にとってテクノロジーは、人気の観光地に過剰な負担をかけているという罪悪感がなく、世代間で乖離があると言及している。
また、2025年、ベビーブーム世代は、静かな老後を過ごすのではなく、これまで以上に行動的でスリルを求めるようになると分析。ほぼ4分の1が冒険を伴う休暇に興味を持っており、若かりし頃の無謀な行動に再び身を投じたいと熱望しているという。このほか、男性旅行者については、ありがちな期待や「男らしさ」の決まり文句を捨てて、日常生活のストレスからの解放(29%)、休息による活力の回復(30%)、メンタルヘルスの追求(23%)と個人としての成長(24%)を求めているとの結果を示した。
また、空港での過ごし方も変化。世界の旅行者の3分の1以上(日本は20%)が「空港の魅力を理由にその場所を訪れたい」と回答し、日本、世界共に約6割が体験施設を持つ空港に興味を示した。このトレンドを後押しする可能性があるのはZ世代とミレニアル世代で、乗り継ぎの待ち時間をすべて有効活用しようとしているという。
長寿を得る旅に関心
ウェルネスツーリズムのとらえ方も進化。世界の旅行者の58%(日本の旅行者33%)が、「自分の寿命を延ばすことと健康の増進を目的とした休暇にお金を払う」と回答している。同社では、一時的なリフレッシュを目的とした従来型の旅から、より長く健康的な人生を追求するための「長寿を得る没入型リトリート旅」を求めているとみている。
これらを受け、ブッキング・ドットコムのシニア・バイスプレジデント兼CMOのアルヤン・ダイク氏は、「2025年、旅行者は自分自身や人間関係、取り巻く世界を変えるために、旅行を活用するようになる。時代遅れのジェンダーの固定観念を打破し、メンタル・ウェルネスを重視した休暇を求める男性が増えてきた。また、ベビーブーム世代のほぼ5人に1人が、年齢にとらわれず新たな冒険を追い求めている。テクノロジーと想像力が融合し、新しい時代の伝統が生まれる」などとコメントした。