総務省は外国人旅行者の受入環境の整備状況等を調査し、2014年7月18日にその結果に基づいて必要な改善措置を観光庁、および法務省に勧告した。調査の対象は(1)ビジット・ジャパン(VJ)事業の効果的・効率的な実施、(2)入国審査待ち時間の短縮化、(3)外国人旅行者の受入環境の整備(ホテル・旅館と通訳案内)の3点。以下にそのポイントを紹介する。
これによると、ビジット・ジャパン事業においては、事業全体の効果測定が実施されていないことが判明。連携先の地方公共団体との情報共有が不十分で観光庁が運用しているシステムに事業効果を入力するためのアクセスができない例もあり、誘客事業(旅行会社招請等)の評価指標である送客数などの把握が234事業中約5割(119事業)でできていなかった。送客数などが目標の5割未満のものも125事業中約5割(56事業)だったという。そこで総務省では観光庁に対し、効果の把握および高い効果ができる事業を徹底するよう、勧告した。
このほか、入国審査待ち時間の短縮化については、主要4空港のうち、成田空港と中部国際空港で長時間化したことが判明。法務省に対して入国審査官の機動的な配置を勧告した。
外国人旅行者の受入環境の整備では、国際観光ホテル整備法に基づいて国の登録を受けた国際観光ホテルが年々減少し、全ホテル・旅館に占める割合がわずか%に縮小。登録制度が誘客に寄与するとした施設がないことや、国際観光ホテルの4割が課された義務を遵守していないという実態も判明し、観光庁に対して、国際観光ホテル登録制度の見直しを勧告した。
通訳案内については、業で生計を立てている通訳案内士はほぼ皆無であり、地域限定案内士は外客のニーズがなく試験が休止中。一方で、ボランディアガイドの活動機会は拡大しているとし、観光庁に対して通訳ガイドの役割分担や活動方策の検討を求めた。
(トラベルボイス編集部)