リクルート、「じゃらん」の業況データや今後の戦略発表、BtoB強化で宿泊施設の業務・経営支援の体制構築

リクルートライフスタイルは旅行事業において、BtoB施策を強化する。2017年6月29日の「じゃらんフォーラム2017(東京会場)」で、その取り組み内容を説明した。

同社の旅行事業では単なる宿泊予約サービスではなく、「需要創出」や「誘客・現地消費」「魅力開発」といった、旅行プロセス全体をサポートできる旅行情報サービスへの進化を目指しているところ。

このなかで、「誘客・現地消費」では、従来の集客支援のみならず、先ごろ発表した宿泊施設に対する業務支援経営支援を追加。「トータルでサポートできる新たなチャレンジを行なう」(執行役員旅行領域担当・宮本賢一郎氏)と、宿泊施設向けの支援体制を構築したことを説明した。販売促進と生産性向上、収益性向上の3方向からサポートすることで、宿泊施設の魅力的なサービス提供を実現し、マーケット全体の成長に繋げるという。

また、これら各プロセスでの提供価値をさらに磨き込むため、宮本氏は「IT×データサイエンス」を今年度のキーメッセージとして発表。最新のテクノロジーと、同社が有する膨大なビッグデータの分析結果を重ね合わせることで、「これまで以上の価値を提供できる」とアピールする。

例えば、地域の魅力開発では、ビッグデータの活用によるマーケティングサポートを強化。該当地域における旅行者の閲覧情報や行動情報、クチコミデータなどを踏まえたレポートを提供し、地域消費を上げるための新商品開発などで活用してもらう。

また、DMOとの連携強化では、じゃらんの宿泊や体験予約、飲食のホットペッパーグルメなどの情報を一括提供し、地域の情報発信サイトの開設などをサポート。同サイト上で発生した予約に対しては、利用料を支払うため、DMOの自主財源として確保できるようにした。これはすでに、京都府などでの先行事例もあるという。

フォーラムの冒頭、代表取締役社長の淺野健氏は、旅行と飲食、美容の事業を行なうリクルートライフスタイル自体が、従来の集客支援サービスから、ビジネスへの貢献を主眼に業務支援、経営支援を加えた3つの柱で展開する方針を説明。

すでに、飲食や美容分野を中心に、業務支援としてタブレット型POSレジの「Airレジ」を展開しているが、旅行分野には今期、業務支援では3つ経営支援では2つの新サービスを発表。特に経営支援は宿泊施設向けのサービスから順次開始となっており、旅行分野を重視する姿勢を印象付けた。


2016年取扱高は8558億円、遊び・体験予約も堅調

宮本氏は、旅行事業の各プロセスにおける取扱状況も発表。じゃらんnetの2016年度の国内宿泊予約流通取扱高は、前年比6%増の8558億円となり、右肩上がりの成長が続いている。

このうち、熊本地震後の需要喚起策「九州ふっこう割」をはじめとする地域誘客のクーポン発行では、総予約額が106億円になった。また、法人出張の「じゃらんコーポレートサービス」の契約法人は7500社を超え、3年連続で予約数が前年比100%増と好調。グローバル分野では、エージェントサービスを契約する海外の旅行者数が合計350社を超え、「インバウンドのニーズにもこたえていく」と自信を見せた。

一方、「需要創出」の部分では、若者の行動支援プラットフォームのマジ部の延べ会員数が100万人を超える見込みで、世代人口の20%が利用するまでに拡大。遊び・体験の約では、ネット利用予約率(67.7%)、予約可能施設数が(約4.1千件)、掲載プラン数(約1.8万件)の3点で業界1位となった。

今回のじゃらんフォーラム2017(東京会場)には、約760名が参加した。

なお、同社広報によると、国内OTA各社が民泊への参入を表明しているが、リクルートライフスタイルとしては「現在のところ、研究はしているものの事業化の計画はない」という。また、先ごろ、リクルートホールディングスが買収したクチコミ評価分析の「トラスト・ユー」は、現在のところホールディングスの管轄となり、「じゃらん」事業との連携は白紙のようだ。

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