HISのグローバル事業拡大のロードマップを聞いてきた、世界各地でタビナカ開発やBtoB販売の最大化など

エイチ・アイ・エス(HIS)は2019年10月期第2四半期(2018年11月1日~2019年4月30日)の決算発表で、現在強化している海外法人のグローバル事業において、世界各地での着地型ビジネス展開を加速する方針を示した。

かねてからHISでは、全グループの仕入れを一元管理し、世界に向けてBtoB販売を行なうオンラインプラットフォームを構築する構想を発表していたが、自社による開発またはM&Aでの取得による独自コンテンツを持つことで、強みを発揮させていく考えだ。

その一つが先ごろハワイにオープンしたVIP専用ラウンジ「Waikiki Club Lounge by LeaLea」と紹介。建物内に免税店やポップアップストアなどを配置し、HISの日本人客はもちろん、海外客の受け入れとマネタイズも考慮して展開していく。

さらに決算会見では、現地サプライヤーとなる新事業も発表。ベトナムの現地法人で日系企業として初めて、世界遺産・ハロン湾での日帰りクルーズ事業を行なう予定だ。

このほか、海外出店を加速する同グループのホテル事業や、アクティビティ、レンタカー、ガイドなども、自社開発やM&Aでの取得、現地仕入れの強化で拡充。これらを、開発中のオンラインプラットフォーム「グローバルインバウンドプラットフォーム」に載せ、HIS(国内販売)を含む、国内外の同社グループやその他旅行会社に販売する。流通販売を最大化し、BtoBを推し進める方針で、グローバルOTAも全世界にHISの商材を販売する協業相手とみていく。

決算発表時のスライド資料

また、グローバル事業で推進している海外M&Aでは、特にカナダでの規模が拡大。2019年1月にはカナダで5位以内に入るOTAとホールセラーの「Red Label Vacation(red.tag.ca)」を傘下に入れ、日本発インバウンド(HISカナダ)、カナダ発アウトバウンド(メリットトラベル)、グローバル発インバウンド(ジョンビュー)、ホールセラーとOTA(red tag.ca)の総合型旅行業を展開する。同社広報によると、現在ではHISカナダ全体の規模は、カナダの旅行市場でトップシェアを競うほどになるという。

旅行事業全体では将来的に、日本市場をメインとする国内事業とグローバル事業の売上高を同規模にさせる考え。ただし、国内事業は2ケタ成長を維持させていく方針で、これに向け国内ではダイナミックプライス化を踏まえ、個人旅行向け販売を強化するためのサイト改善も実施する。グローバル事業で拡充するタビナカのコンテンツも、同サイトでダイナミックパッケージなどにも組み込んで販売する予定だ。

また、チャーターなど、リスクを取った商品販売も実施。2020年のゴールデンウィークには、日本寄港で過去最大となる17万トン級のクルーズ客船「MSCベリッシマ」を、クルーズプラネットとベストワンドットコムの3社合同でチャーターし、販売する。

2019年10月期の旅行事業の売上高は、前年比11.2%増の7280億円となる見込み。8500億円を目指す2020年10月期には、国内事業、グローバル事業の取扱をほぼ同規模としたい考えだ。

記事:山田紀子

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