出張旅行にも大打撃、世界の大手企業が出張自粛令、月470億ドルの損失に、新型コロナウイルス拡大で

世界中で感染が拡大している新型コロナウイルスによって、世界中の企業が出張を見合わせており、業務渡航市場にも大きな打撃を与えている。

AP通信によると、アマゾンはおよそ8万人の社員に対して、海外だけでなくアメリカ国内でも不要不急の出張を延期するように通達した。スイスのネスレは、世界中の29万1000人の社員に、3月15日まで海外出張を禁じた。また、フランスのロレアルも同様に8万6000人の社員に対して3月31日まで海外出張を禁止した。

このほか、ツイッターは、世界中の社員に対して自宅でのリモートワークを要請。ダブリンにあるグーグルのヨーロッパ本部も8000人の社員に同様の指示を出した。

イベントのキャンセルも相次いでいる。ジュネーブで開催予定だった国際モーターショーとバルセロナで開催予定だったモバイルワールド会議は中止。

フェイスブックは、3月13日にテキサス州オースチンで始まる予定のサウス・バイ・サウスウエストへの出席を見合わせる。また、国際通貨基金(IMF)と世界銀行は、4月中旬にワシントンで開催予定だった通常総会を、バーチャル形式に変更した。

グローバル・ビジネス・トラベル・アソシエーション(GBTA)によると、業務渡航は旅行消費全体の約26%を占め、その消費額は年間およそ1兆5000億ドル(約161兆2500億円)にのぼるとされている。同協会に加盟している400社へのアンケートでは、95%が中国への出張を中止。日本と韓国へは45%が、ヨーロッパへは23%が出張を取りやめた。新型コロナウイルスによる業務渡航業界の経済的損失は月470億ドル(約5兆500億円)にのぼると試算されている。

米国の大手旅行調査会社フォーカスライトによると、アメリカ国内だけで出張によるホテル予約は年間468億ドルになるが、ホテル業界も同様に大きな打撃を受けている。ホテルデータを提供しているSTRによると、2月22日からの1週間でサンフランシスコの客室稼働率は11%も下落した。これは、AT&T、ベライゾン、IBMなどが2月24日に同市で開催されたRSAサイバーセキュリティー会議への出席を取り止めたためだ。

経営側だけでなく、従業員側からも出張取りやめを求める声も多い。アメリカン航空が中国、香港、ミラノ線を運休したのは、パイロット組合からの要求によるものだった。

感染のリスクを避けるために外部の人間と会うことを回避するように従業員に通達している企業もある。フォードのジム・ハケットCEOは、約20万人の社員に対して、サプライヤーなどと商談を進める場合には電話かバーチャル機器で行うように求めた。

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