トリップ・ドットコムグループ(Trip.com/旧シートリップ)は、中国国内でネット生中継でのオンライン実演販売(ライブコマース)セールを開始し、大きな成果を上げている。
ライブコマースセールは、WeChat(ウィーチャット)のミニプログラム上で実施。同グループ共同設立者兼会長の梁建章(ジェームス・リャン)氏がKOL(Key Opinion Leader)として登場し、女性アシスタントとともにホテルを紹介する。セールには2万軒以上のホテルが参加し、40%~60%割引を中心に、最大80%割引の特別価格を提供している。
2020年3月23日に第1回を実施後、数回を経て、毎週水曜日午後8時からの1時間番組として定期配信するようになった。5月13日の配信では、1時間の生配信中に200万人のユーザーが閲覧し、87万人が「いいね!」やコメント記入などで反応。GMV(流通取引総額)は4700万人民元(約7億2000万円)に達した。第1回から5月13日まで計9回での累計GMVは、3億人民元(約46億円)に及ぶ。
ユーザーのセール商品への反応も良く、寧海のプレミアムホテルは、放送開始から数分で4000室のパッケージが完売。その後、追加した2000室も数秒で完売した。ライブコマースは実施回ごとに開催地を変えており、広州と深圳での実施回では開始から15分以内に3700泊を販売。上海では1時間で8万泊を販売したという。販売商品は、半年から1年先まで有効の前売り券を販売するプレセールの形式で、前売券を購入しても宿泊予約をしない場合はキャンセルを可能にしているのが特徴だ。
同グループによると、ライブコマースセールは、新規顧客の獲得と既存ユーザーの活性化が目的。中国国内旅行の市場拡大にあわせ、同セールによってまだ知られてない国内の観光地への興味を掻き立てる。同グループが実施する通常のセールと比べると、10代~20代の若年層からの人気が高いという。
同グループでは、新型コロナウイルスの影響を受け、無料キャンセルポリシーの発表など、いち早く対応してきた。3月5日には梁氏とCEOの孫潔(ジェーン・スン)氏、CMOの孫波(ソン・ハ)氏がオンライン会見を開き、「China Tourism Revival Plan V」を発表。世界の約100のデスティネーション及び1万の旅行ブランドとともに、10億人民元(約153億円)のリカバリーファンドを立ち上げ、観光市場の活性化のための再生プランを開始した。同プラン開始後、ホテル予約の売上は最大2000%増となっており、回復を推進している。