米議会上院は2020年6月17日(現地時間)、総額28億ドル(約3000億円)におよぶ「グレート・アメリカン・アウトドア法」を可決した。この法案は、米国の国立公園や公共の土地を保護・維持するとともに、アウトドア・アクティビティを促進する目的で超党派で提出されたもの。今後、法案は下院で審議されるが、成立する見込み。
法案の中身は、既存の「土地・海保護基金 (Land and Water Conservation Fund)」に、現在の2倍にあたる年間約9億ドル(約963億円)を投入。さらに年間19億ドル(約2030億円)が国立公園、森林、野生動物などの保護に充当される。
米国の国立公園は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、訪問者が激減していることから、自然保護や施設の改修・維持に加えて、地域コミュニティーへの経済効果も期待されている。法案提出者のひとり、ガードナー上院議員は「この法案によって、少なくとも10万人の雇用が創出される。パンデミックによって外出ができなかったアメリカ人旅行者は、もうすぐアウトドアに出かけ始めるだろう」と述べている。
当初、トランプ大統領は、「土地・海保護基金」の予算を削減しようとしていたが、複数の議員が説得。最近ではこの法案に賛成の意向を示し、「我々の美しい土地にとって歴史的なものになる」とツイートしていた。
上院で法案が可決されたことを受けて、米国旅行業協会も声明を発表。ロジャー・ダウCEOは、「国立公園は、米国の旅行と観光にとって重要な場所。この法案は、インフラ整備だけでなく、旅行と観光に依存する地域の観光産業にも役立つもの」と歓迎した。
同協会によると、2019年に米国の国立公園への訪問者数は3億2700万人。約417億ドル(約4兆4600億円)の経済効果を生み、34万人の雇用を支えた。ウィズコロナでは、ドライブ旅行とアウトドアが好まれる傾向にあることから、ダウCEOは「国立公園は直近では非常に重要なレジャーデスティネーションになる」との見解を示した。
*円換算は1ドル107円でトラベルボイス編集部が算出