欧州連合(EU)は2020年6月30日、7月1日から日本を含む14カ国からの渡航制限を解除することを決めた。EU加盟各国は、新型コロナウイルスの収束状況を確認し、入国を解禁する国について協議。その結果、日本に加えてアルジェリア、オーストラリア、カナダ、ジョージア、モンテネグロ、モロッコ、ニュージーランド、ルワンダ、セルビア、韓国、タイ、チュニジア、ウルグアイの計14か国を承認した。
この14カ国からの旅行者は、EU27カ国およびその他シェンゲン協定4カ国への入国が認められることになる。対象国は14日ごとに見直され、その時点での感染状況を踏まえて、追加あるいは除外が決められることになる。
中国については、中国政府がEU圏内居住者の渡航を受け入れることを条件に渡航が許可される。
一方、感染者が引き続き増加傾向にあるアメリカ、インド、ブラジル、ロシアは対象から外れた。
2016年のアメリカからヨーロッパへの旅行者はおよそ2700万人。ヨーロッパからは毎年約1000万人の旅行者がアメリカを訪れている。また、アメリカ人旅行者が昨年ヨーロッパで消費した額は2014年比で46%増の約670億ドル(約7兆2100億円)にもなることから、アメリカ人旅行者に依存しているヨーロッパの観光地では、観光産業の復興に向けて懸念の声も聞かれる。
先週来、EUの規制解除国に関するリストに米国が含まれるか否かは米国の旅行業界からも注視されていた。先週の段階で、米国がリストから外れる報道がなされており、米国旅行業協会は「この決定に非常に失望している。世界的に経済活動を再構築している段階で、これは間違った方向性を示している」との声明を出していた。
また、今回の決定でアメリカの大手航空会社も失望を表明。昨年のユナイテッド航空の国際線旅客収入は全体の38%で、そのうち17%は大西洋線。デルタ航空とアメリカ航空も、ユナイテッド航空ほどではないが、ニューヨーク/ロンドン線はドル箱路線だ。
*円換算は1ドル107円でトラベルボイスが算出