JALは、2021年3月期連結決算で2866億円の当期損失を計上した。新型コロナウイルスの影響によって、年間を通じて旅客数が大幅に減少。前期の480億円の当期利益から、2010年の経営破綻以降、最大の赤字に陥った。
売上収益は前年度比65.3%減の4812億円。抜本的なコスト削減策と投資抑制を実施することで、営業費用を同32.4%減の8850億円に抑制したものの、EBITは前年の888億円から3983億円の損失を計上した。
国際線では、世界的な旅行規制によって、国境移動の需要はほぼ消滅。旅客数は同96%減となり、旅客収入は同94.3%減の279億円にとどまった。
国内線では、2020年4月の緊急事態宣言の発出によって第1四半期には需要が大幅に落ち込んだが、GoToトラベル事業の開始によって第3四半期には一時的に観光需要が急回復。第4四半期は緊急事態宣言の再出によって、再び需要が低迷した。その結果、旅客数は同66.5%減となり、旅客収入は同67.2%減の1740億円となった。
一方、貨物郵便は、マスクや防護服をはじめとする医療品の輸送や、旅客機を活用した貨物専用便を計1万5299便運航したことから、収入は同40.6%増の1288億円に増加した。
財務面では、自己資本比率45.0%を確保。営業キャッシュフローは第1四半期のマイナス1302億円から第4四半期にはマイナス396億円と大幅に改善した。
2021年3月期末での手元流動性は、現預金4083億円に未使用のコミットメントライン3000億円を加えた合計7000億円を確保。キャッシュバーンについては、2022年3月期の第1四半期においては月額約100~150億円程度に圧縮できると予想している。
2022年3月期連結業績予想は、国際旅客の回復を見積もるのが難しいとして未定とした。