タビナカで進む直前予約、エクスペディアと体験予約大手ゲットユアガイド社の提携が意味することは?【外電】

2021年9月上旬、タビナカ大手のゲットユアガイド(GetYourGuide)が、エクスペディアへの商品提供を開始するというニュースが報じられた。

米観光産業ニュース「フォーカスワイヤ」の報道によると、両社が結んだ契約により、エクスペディアのプラットフォームで、ゲットユアガイドのコンテンツ検索や予約が可能になった。エクスペディア掲載に際し、必要となるテクノロジー対応やオペレーション関連業務は、ゲットユアガイドが担当する。

なぜ今、両社は手を組むことになったのか。そのカギは「直前予約」にあると考えることができる。

ゲットユアガイドと予約システムを接続しているパートナー事業者は150余り。これだけの数のシステム接続をこなすのは大変な作業で、ベンチャーキャピタルからの投資マネーのかなりを費やしているのではないか。当然、投資に見合ったリターンが必要だ。

予約システムの接続性は、在庫データを正確に把握できるかどうかに直結する。例えば、あと3時間で出発予定のツアーに、4人分の予約を入れられるか?

あるいは、パリのエッフェル塔で長い列に並んでいる時。家族が退屈しないように、他に何かないか探してみる。こうした場面で必要なのは、明日ではなく、今すぐできることだ。

モバイル時代において、予約受付の最終期限をどこまで延ばせるかは、何よりも重要になっている。

エクスペディアは、こんなコメントを出している。

「エクスペディアおよびグループ各サイトが扱う予約は、当日まで3日以内になってから入るものが大多数を占めている。間際化はさらに進んでおり、消費者はモバイル端末で直前に予約を入れるのを好む」。

ちなみにタビナカ分野で競合するライバル、トリップアドバイザー傘下のビアターは、すでにエクスペディアに商品を提供している。

間際化はどのように進んできたのか

間際予約戦略について考える前に、これまでの経緯をたどってみよう。かつて予約の手段といえば1つか2つぐらいだった。

  • 例えばビアターなどOTA経由で、フライトやホテルの予約確定とほぼ同じタイミングで、だいたい数週間以上前に予約。
  • 現地に到着した後、例えばホテルのコンシェルジュやチケット・ブースで直前に予約。

だが2008年にiPhoneが登場して以降、モバイル予約が進み、さらに事業者側も、その時々の消費者の気分に応じられる間際予約サービスを目指すようになっていく。「48時間前まで予約可能」が画期的だったのも、すでに遠い昔だ。

2012年頃からは、「前日夜でも予約OK」(予約受付の最終期限は12~16時間前)が期待されるようになり、2014年頃にはさらに4時間前まで(当日、朝食を食べながら、午後の予定を決めることも可能)に短縮。現在もほぼ同じ状況だ。

こうなってくると、テクノロジーよりも、ツアーや体験を催行するオペレーション側の負担増が顕著になる。

2013年に私がまとめた記事「OTAの現地ツアーから予約期限がなくなる?」(PDFファイル)で指摘している通りだ。

「モバイル予約対応のツアー&体験アクティビティ・プラットフォームでは、通常のウェブサイト予約のものとは異なる契約方式が必要になるだろう。モバイル予約とウェブ予約の違いは、画面のサイズが少し小さいというだけではないのだ。」(記事引用)

間際予約を取り巻く状況は、現地の受け入れ事業者にとっては、すでにギリギリの上限に達している(あるいは下限か!)。

もし、OTAが予約期限をさらに間際化し、2~4時間前までとするなら、商品そのものを全く新しいデザインに更新する必要があるだろう。予約システムの接続も、非アトラクション系プロダクトも、OTAが目指す予約期限なしの野望に対応するのは不可能だ。

では、そのような新しいアプローチはどうしたら実現可能か。

デジタル体験プラットフォーム

そもそも予約期限が必要ないものが、デジタル体験プラットフォームだ。

例えば、セルフガイド形式のオーディオツアー。利用客がいつでも自分の好きな時にスタートできるオンデマンド方式だ。

もう少し複雑にはなるが、ツアーガイドに配慮した予約期限なしのデジタル体験も考えられる(私が運営するサービス「Autoura」でもこの方法なら可能だ)。具体的には、

  • ツアーガイドは、予約プラットフォームでの予約受付期限を出発3時間前までに設定しておく。
  • 利用客は最初の3時間、「セルフガイド」形式で楽しみ、後半はガイドの案内のもとで体験を楽しむ。
  • ガイドがもともと対応していない日時には、ツアーも設定しない。

ツアーガイド側にとっては、スタートまで3時間の猶予がある。利用客側からすると、予約したらすぐに楽しめる。

優れた予約システム接続機能を武器に、顧客を囲い込むゲットユアガイドの戦略は秀逸だが、予約の間際化をさらに追及し、期限ゼロを目指すのであれば、今のやり方だけでは難しいかもしれない。

※編集部注:この記事は、英デジタル観光・旅行分野のニュースメディア「DestinationCTO」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

※オリジナル記事:Connectivity lead last minute bookings motivating Expedia & GetYourGuide to work together

著者:アレックス・ベインブリッジ(DestinationCTO 創設者)

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