米国の旅行会社が日本行きツアーに熱視線、「今年の3月と4月の予約は入っている」、隔離継続なら中止に【外電】

この数ヶ月で、世界中の多くの国が観光客の受け入れを再開したが、観光客が多い国の中で例外となっているのが日本。それでも、米国には今春の桜の季節には日本も国境を再開するのではないかと考えている旅行会社がいる。米観光産業メディア「スキフト」が伝えている。

日本は、パンデミックの中、2020年3月に水際対策を強化。夏の東京オリンピック・パラリンピックは無観客で開催。その後も、技能実習生、ビジネスマン、留学生に限って入国を認めてきた。しかし、オミクロン株の拡大で、再び入国規制を強化。今月、その対策を2月末まで延長することが決まった。

それでも、米国の旅行会社の多くが、日本行きツアーを販売している。パンデミック前には、日本は彼らにとって儲かる市場だったことから、今春の旅行シーズンには観光客の受け入れを再開するのではないかとの希望的観測を持っているのだ。

日本への送客、可否の判断は6~8週前

米国の旅行会社「Collette」の上級副社長ジェフ・ロイ氏は、「今年の3月と4月の日本ツアーの予約はまだ入っている。桜のシーズンはいつも需要が高い。旅行者はその時期を狙っている」と話す。ロイ氏は、2月上旬にもオミクロン株の感染がピークアウトするのではないかという観測について触れたうえで、「それでも春の旅行予約を考えると、そのタイミングでは遅い」と嘆く。

同社は花見旅行として毎年およそ1000人を日本に送客してきた。花見を楽しむ人は、国内旅行者および海外からの旅行者を含めて、約6300万人にもなるという。

では、顧客を日本へ送客できるかどうかを判断するためには、どれくらい前に状況を知ることが理想なのだろうか。ロイ氏は「さまざまな条件が必要な現状での理想を言えば、6~8週間前。出発前、あるいは到着後の検査があるのかどうか。ブースター接種は必要なのかどうかなどを知りたい」と話す。さらに、ホテル、レストラン、フライトの手配をするためにもそれくらいの余裕は必要だとし、「予約している顧客とのコミュニケーションにはそれくらいの時間が必要。その後で、代金を請求することになるだろう」と付け加えた。

ロイ氏のような楽観的な観測がある一方、日本が今春に国境を再開するかどうかまだ不確実だと繰り返す旅行会社もいる。Gアドベンチャーのプロダクト担当副社長のイヴ・マルソー氏は「ほとんどの国が、国境再開について長期的なビジョンを持っておらず、そのタイミングは非常に流動的だ。日本もオミクロン株の出現前は、国境を開こうとしていた」と話す。

通常、さまざまなコンテンツを予約し、旅程を作成し、それをパンフレット化するまでには、出発の2~3年前からスケジュールを組み立てる旅行会社は多い。インターピッド・トラベルの北米担当マネージングディレクターのマット・ベルナ氏は「現状、確実に国境を再開すると分かった国へのツアーに限られている。顧客は通常、数ヶ月前あるいは数年前から旅行の計画を立てるため、我々は非常に慎重に予測を立ててから、販売する。現状、ほとんどのツアーがそうだ」と明かす。

Gアドベンチャーでは、ツアーが催行できない場合、出発の45~60日前に参加者に通知するようにしているという。

隔離が継続していれば「中止にせざる得ない」 

日本が最終的に国境を再開するとき、旅行会社は、他の国のツアーと同じように日本ツアーの準備を進めるのだろうか。

ロイ氏は「日本についても同じだと思う。ヨーロッパと同様に、コロナ対策についてはワクチン接種と検査の組み合わせになるのでは。ただ、到着後の隔離措置が継続していれば、我々はツアーを中止せざるを得ないかもしれない」と話す。

それでも、日本は米国の旅行者のあいだで関心の高いデスティネーションのため、多くのツアーオペレーターにとっては、日本が国境を再開すれば、稼げるマーケットになるだろう。2019年、日本を訪れた外国人旅行者は3190万人。7年連続で過去最高を記録した。

マルソー氏は「旅行者は、旅行できる国への旅行予約をできるだけ早くしたいと思っている。日本は、国境を閉じる前、世界から大きなスポットライトを浴びていた。東京オリンピックで、さらにブームが高まると期待していた」と話す。

「まだ国境は閉じたままだが、これまで抑えられていた需要は確実にある。国境が開きさえすれば、日本ツアーの予約は急激に増えるだろう」。

※編集部注:この記事は、米・観光専門ニュースメディア「スキフト(skift)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいてトラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。 

オリジナル記事:Tour Operators Sell Japan Trips But Remain on Standby for Reopening

著者: ラシャード・ジョーダン氏


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