新築分譲マンション事業をコア事業とするタカラレーベンは、ソラーレホテルズ&リゾーツと合弁で「レーベンホテルズ株式会社」を設立し、ホテル運営事業に参入した。2022年3月24日に1号店の「HOTEL THE LEBEN OSAKA」を開業するのを皮切りに、札幌や福岡、京都など、ビジネスやMICE、観光などの多様な需要を狙える大都市部への出店を狙っていく。
2025年にはレーベンホテルズを100%子会社化する計画で、ホテル直営事業と運営受託事業の2本柱で事業を加速させる方針だ。
先ごろオンラインで開催した発表会で、レーベンホテルズ取締役の秋澤昭一氏は、タカラレーベンが今年9月に創業50年を迎えることを述べたうえで、「住まいづくりで培ったノウハウを転用する。ホテルで過ごす幸せのあり方を提案し、寛ぎの空間には価値があることをホテル業界に発信することが、この50年、不動産事業を手掛けてきた当社の役割であり、挑戦だと思っている」と、新規事業に参入する意気込みを話した。
ブランドビジョンは、「日常のくつろぎがある、旅が広がる。」。ラグジュアリーではなく「シンプル&ラージ」を打ち出し、旅先のホテル滞在でも、自宅のような感覚でくつろげる、上質な非日常の空間を提供する。
客室は、日本の平均的な宿泊特化型ホテルの約2倍の30平米以上とし、バスとトイレは分離。日本の習慣である靴を脱ぐ客室利用を提案し、各客室にシューズボックスも用意する。社名を付けた「レーベンスタイルルーム」では、リビングとベッドルームの間に仕切りを設け、居住空間と疲れを癒すスペースを分けることで、より快適な滞在ができる設計にしている。
マンション開発の事業者が室内空間の快適性を強みにホテル参入をする例が少なくないが、秋澤氏は、「我々は富裕層ゾーンではなく、初めて購入するマンションを終の棲家とする客層にこだわっている。その客層が望む空間の姿を知り尽くしているノウハウが、差別化できる強み」と、強調した。
コロナ以前からホテル参入計画、続行した理由
2022年3月24日に開業する1号店の「HOTEL THE LEBEN OSAKA」は、全107室。道頓堀まで徒歩圏内、梅田、なんば、大阪城なども乗り換えなしでアクセスでき、ビジネスも観光にも便利な立地だ。コロナ禍以前にこの土地を取得し、インバウンド需要を期待してホテル計画を始動していたが、「ウィズコロナの時代にも当社の価値を最大化できる」(秋澤氏)と、この時期でのホテル開業を決断した。2025年の大阪関西万博とIR計画もある大阪は、インバウンドの復活時に大きな需要が見込めることも、計画を推進した理由だ。
「訪日観光客からは日本のホテルは狭いという声が多くあった。そこにポテンシャルを感じている。加えて、日本人の日常に寄り添ったシンプルな客室仕様は、むしろ興味を引くポイントにもなるのでは」(秋澤氏)とも見込む。
レーベンホテルズではルームチャージ制を導入しており、「HOTEL THE LEBEN OSAKA」では初年の平均客室単価(ADR)を1万5000円と見込む。同社ではコロナからの回復傾向に入るのが2024年後半から2025年と予想しているが、正常期に戻れば「(当初の)30~40%の高いレート」(秋澤氏)を見込む。
そのためにもまずは稼働率にこだわる。「開業初年度はホテルの認知度を上げる。マーケットに認知されなければ戦う土俵に上がれず、事業計画の策定も難しい」(秋澤氏)とも述べ、まずはホテルへの人流創出に注力する方針を示した。4月1日に拡大される県民割や、再開が期待されるGoToトラベルについても、実施される際には申請する予定だ。