2021年度の旅行業の倒産件数は27件、3年ぶりで増加、コロナ禍の長期化で消耗が深刻化

東京商工リサーチは2021年度(2021年4月~2022年3月)の旅行業の倒産状況を発表した。それによると、倒産件数は17.3%増の27件となり、3年ぶりに前年度を上回った。このうち新型コロナウイルスを要因とする倒産は22件で、前年より9件増。全体の構成比でも前年の56.5%から81.4%に拡大しており、コロナ禍の長期化による企業体力の消耗が深刻化している。

負債総額は前年比85.6%減の42億4000万円。前年度の旅行業における過去最大の大型倒産(負債278億円のホワイト・ベアーファミリー)の発生による反動減で、2年ぶりに前年を下回った。負債額別でみると、負債1000万円以上5000万円未満が11件で4割を占めたが、前年より減少した。一方で、負債1億円以上5億円未満が5件(前年度2件)、5億円以上10億円未満が3件(同1件)と増加しており、中堅規模での倒産が増えている。

原因別では「販売不振」が22件で全体の81.4%を占めた。次いで「他社倒産の余波」が2件など。形態別では「破産」が25件で9割。「取引停止処分」と「内整理」が各1件。「再生型」はなかった。

資本金別では、1000万円以上5000万円未満が13件で、全体の約半数。次いで、5000万円以上1億円未満が5件、100万円以上500万円未満と500万円以上1000万円未満が各3件だった。

東京商工リサーチが実施した「旅行業」業績動向調査で、旅行業者1110社の売上がコロナ以前の2019年から2021年の間に約2兆円が消失し、2021年の最終損益も、判明した587社のうち6割超が赤字だったことが明らかになった。これを踏まえ東京商工リサーチでは、コロナ関連融資等による過剰債務の解消が課題となるなか、旅行業では資金調達難などによる「あきらめ型」倒産が増加する可能性を指摘している。

発表資料より

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