ドイツ観光局が、このほど都内でリアルとオンライン配信のハイブリッド形式でのプレス発表会を実施した。アジア・オーストラリア統括局長/日本支局長の西山晃氏は、ドイツ側の入国規制と日本側の水際対策の緩和の状況から「2年半近くの我慢の時期が、ようやく終わりを告げようとしている」と、日本人の海外旅行の再開加速への期待感を示した。
一方で、ロシアのウクライナ侵攻を受けた国際情勢やコロナ禍を経た経済環境の中、今後のドイツ旅行で「旅行費用が上がるのは避けられない」ことにも言及。航空における燃油費の高騰や日本/欧州間の迂回ルート利用で航空運賃の上昇が予想されること、人手不足による人件費高騰がホテル宿泊料金に転嫁されるなどで滞在費が値上がりしていることを理由として挙げた。
こうしたことから、安価なツアー旅行で大量送客していくようなコロナ前のような旅行は当面厳しいと予測。また、リカバリー初期にはビジネス渡航から再開し、海外留学、個人旅行、10人以下の小グループ旅行へと段階的に復活していく流れとなるとみている。こうしたことから、国際観光再開後の一定期間は、体験重視で付加価値の高い旅行を優先してプロモーションしていく方針を決めたという。
また、この方針はサステナブルな観点でも重要で、西山氏は「(これまで以上に)サステナブルに真剣に取り組む。観光局の取り組みとして社会的意義があるのか、搾取はないか 目配りした活動をしなければいけない」と組織として一歩進んだ活動となることも明かした。
プレス発表会では、プロモーション方針の具体策についても紹介された。2022年は「都市&文化」「自然」「サステイナビリティ」の3つのテーマで展開する。同局では、SNSキャンペーンに注力をしており、日本市場においては、若年層向けにはTwitter、高年齢層向けにはLINEを重視。今後も積極的な投稿やキャンペーンを継続していく方針だ。
リアル商談会でドイツ観光を世界に発信
日本からドイツへの入国は、2回目のワクチン接種完了から14日間経過していれば可能となっている。2022年5月1~3日には、3年ぶりにドイツトラベルマート(GTM)をアルプスの山村オーバーアマガウでリアル開催。日本からは旅行会社8名、メディア2名が参加。ドイツ国内からは164社の観光業者が出展、世界34カ国の旅行会社200名、メディアから90名が参加した。DZT代表理事のペトラ・ヘードルファー氏は「GTMのリアル開催は訪独ビジネス再開の明確なシグナル」とコメントしている。
GTM2022は、サスティナビリティや環境問題、気候変動、バリアフリーに配慮しておこなわれたのも特徴。地産地消のケータリング、環境に配慮した交通手段での移動が採用された。