観光庁、「コロナ後の観光産業」検討会で最終とりまとめ公表、面的DXが不可欠

観光庁は2022年5月31日、「アフターコロナ時代における地域活性化と観光産業に関する検討会」最終とりまとめを公表した。コロナ後の日本の観光産業再生に向け、2021年11月から一橋大学名誉教授の山内弘隆氏を座長とする検討会を開催し、旅行業ワーキンググループと宿泊業ワーキンググループに分かれて議論してきたもの。今後取り組むべき国の主な施策として、「観光地の面的な再生・高付加価値化の推進、持続可能的な観光地経営の確立」、「観光産業の構造的課題の解決」の2点を挙げた。

法整備含め面的DXへの支援強化を

まず、観光地の面的な再生・高付加価値化の推進については、観光地の魅力向上につながる施設改修や廃屋撤去などの取り組みが可能になるよう、現行の支援内容を見直すとともに、面的なDX化なども対象とするなど制度の見直し、法整備も含めた推進策を検討し、施策を講じるべきと提言した。

具体的な取り組み例としては、宿泊施設などの高付加価値化のための改修、観光地における廃屋撤去、所有者不明の廃屋撤去後の跡地利用、面的なDX化、複数の交通事業者の連携による域内交通の利便性向上などを挙げた。

面的DX化は、観光地全体の収益を最大化し、観光地経営を確立するためにも不可欠とした。DMP(データマネジメントプラットフォーム)の構築によるマーケティング強化、マネジメント・マーケティング、ITリテラシーなどのスキルを学ぶ機会を設けるなど、観光地経営をけん引する人材育成強化、宿泊税、ふるさと納税、地域ファンドなどを活用している先進事例の横展開、DMOの地域への貢献の客観評価なども検討すべきとしている。

宿泊・旅行ともに経営体制、事業モデル転換が不可欠

検討会では、コロナ以前からの生産性の低さや旧来型事業モデルへの依存も議論された。宿泊業については、家業的経営から企業的経営への転換、健全な事業再生の推進、宿泊サービスの高付加価値化、生産性向上と担い手確保、地域全体での計画的な安全・安心の備えの確保が必要だとした。そのためには、企業的経営に関するガイドライン策定、コロナの影響が大きい業種を重点的に支援するファンド組成、顧客管理システムの導入支援、自治体との災害連携協定締結の促進などが必要としている。

旅行業については、価値創造型ビジネスに転換するため、これまでの送客型から誘客型へのシフトが必要。地域の観光資源を活かした旅行商品造成への支援が求められるとした。人口減少・少子高齢化時代に新たな旅行市場を開拓するため、ユニバーサルツーリズム、ワーケーション、第2のふるさとづくりの普及・促進も挙げている。

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