東京商工リサーチは、2022年上半期(1~6月)の旅行業の倒産状況を発表した。それによると、倒産件数は前年同期比38.8%減の11件となり、4年ぶりに前年同期を下回った。年上半期では過去20年で最少となった。このうち、新型コロナウイルスを要因とする倒産は10件。全体の9割を占めた。
負債総額は前年同期比33.7%減の11億6000円万円で、2年連続前年同期を下回った。負債1億円以上の倒産は2件で、倒産件数の減少が負債を押し下げた。
原因別では販売不振が7件で、全体の6割を占めた。他社倒産の余波は3件、既往のしわ寄せ(赤字累積)が1件だった。形態別では、破産が9件で、倒産の8割を占めた。このほか、特別清算、内整理が各1件発生した。資本金別では、1000万円以上5000万円未満が5件、5000万円以上1億円未満が4件で、1億円未満が8割を占めた。10億円以上の倒産は発生しなかった。
なお、今後の見通しについては、「コロナ関連融資や給付金などに支えられてきた旅行業にとって、全国旅行支援の開始延期や感染の再拡大は、さらなる企業体力の疲弊を招く恐れがある。中小・零細を中心に業況の回復が先送りされる懸念もあり、倒産は今後増加する可能性もある」と指摘している。