電通が全国10~70代の男女2500名に聞いた「エシカル消費 意識調査2022」の結果を発表した。2022年3月23~28日に実施したもので、2020年11月の前回調査と比較しながら、認知度や業界別の取り組みに対する消費者意識の傾向と期待値など分析した。なお、エシカル消費とは、地域の活性化や雇用などを含む、人・社会・地域・環境に配慮した消費行動を指す。
まず、エシカル消費の名称を知っている人は41.1%で、前回調査から17.1ポイント増加した。ただ、「意味まで知っている」に限ると、6.9%で、前回の5.7%から大きく変わらず、理解浸透までには至っていない。性年代別にみると特に名称認知率が高い層は、男性16~24歳(51.2%)と男性25~39歳(51%)でいずれも半数を超えた。最も低い層は、男性60~79歳(27.2%)だった。
エシカル消費への関心度は15.3%。前回調査から6.6ポイント増加したものの、低い水準にとどまった。一方で、具体的な内容を知った後では、43.9%が「ぜひやってみたい、もしくはすでにやっている」「興味があり、やってみたい」と回答し、日常生活に取り入れたいと思っていることが分かった。同社は「内容理解が進めば、アクションにつながる可能性が期待できる」とみている。
また、エシカル消費20項目における認知度は、前回調査に引き続き「食品ロス防止」(62%)、「再生可能エネルギー」(60.3%)が上位で、17ポイント以上伸長した。共感度上位も「食品ロス防止」(61%)、「再生可能エネルギー」(48.9%)がトップ2。旅行業と関連性の高い「地産地消」(47.1%)が3位に入った。実施意向は「食品ロス防止」(53.1%)、「地産地消」(37.6%)が上位だった。
一方、認知度と共感度の差が最も大きいのは「ベジタリアン、ヴィーガン、ハラル」で、訪日インバウンドも再開されるなか、消費者が「試したい」「導入しやすい」と感じるきっかけづくりが求められている。
業界別に「エシカル消費」の実施意向を聞いたところ、トップの「食品」が72.2%だったのに対し、「旅行」は34.4%と低い水準。前回調査も1.9ポイント下回った。取り組み度についても、「旅行」は5.7%と低く、「今後もっと取り組むべき」との差分が11.4%に上った。企業単位だけでなく、業界全体での取り組み拡大、消費者への伝達強化が求められているといえそうだ。