東京商工リサーチが発表した2022年8月の宿泊業の倒産状況によると、倒産件数は前年同期比42.8%減の8件で、5カ月ぶりに前年同月を下回った。2022年1~8月の累計件数は59件(前年同期63件)で、新型コロナの感染が拡大した当初の2020年同期(83件)をピークに減少傾向にある。
原因別では「販売不振」が6件で7割超。8月の「新型コロナ関連倒産」は5件(前年同月7件)で、倒産全体の6割を占めた。地区別では、北陸が最多の3件で、近畿2件、関東、中部、中国が各1件で続いた。
8月の負債総額は前年同期比44.8%減の41億5000万円で、3カ月ぶりに前年同月を下回った。負債10億円以上が1件(前年同月4件)に減少したほか、1億円以上5億円未満も3件(同6件)と中堅規模を中心に倒産が減ったため、負債が押し下げられた。
一方、8月の旅行業の倒産は2022年4月以来、4カ月ぶりに発生しなかった。8月として倒産が発生しなかったのは2006年以来16年ぶり。雇用調整助成金をはじめとした各支援策などの効果が表れているようだ。
ただ、観光関連産業の倒産は相次ぎ、8月は観光客を対象に営業していたバス、タクシー事業者の倒産が東京、北海道などで発生した。