航空データの分析をおこなうシリウムが発表した2021年の世界の航空会社旅客ランキングによると、米国の大手航空会社が上位を独占し、米国国内線市場の回復が順調に進んでいる状況が改めて明らかになった。
トップはアメリカン航空で、デルタ航空、ユナイテッド航空、サウスウエスト航空が続いた。それでも、北米の航空会社の座席販売状況を示す有償旅客キロ(RPK)は、2020年比では75%増となったものの、2019年比では依然として40%減となっている。
世界全体で見ると、2021年の航空会社の旅客数は約23億人。これは、2019年のピーク水準の半分程度に留まっている。ビジネス客や長距離路線の比重が大きい大手航空会社は低迷し、その世界の旅客輸送量に占める割合は2019年から5ポイント減少し64%に下がった一方、LCCのシェアは26%に拡大した。
5位はLCCのライアンエアーで、欧州の航空会社で唯一トップ10に入った。欧州の大手航空会社は、依然として長距離路線が低迷していることから、苦戦が続いており、エールフランス航空は13位、ブリティッシュ・エアウェイズは上位20位から脱落。ヴァージン・アトランティック航空も、長距離路線およびプレミアム旅客の回復が遅れていることから、50以上順位を下げた。
アジアでは、中国の大手3社の中国南方航空、中国東方航空、中国国際航空は上位を維持したが、今年に入り中国の各都市で相次いで実施されたロックダウンの影響が今後出てくる可能性がある。
日本については、ANAとJALの輸送量は、2019年比で2020年は85%近く、2021年も依然として約75%の減少となっている。
中東地域では、エミレーツ航空とカタール航空がトップ10入り。ターキッシュ・エアラインズは、乗り継ぎ需要が好調に推移したことで、2019年比で順位を4つ上げて10位となった。