カンタス航空、羽田/シドニー線を再開、運賃は燃油サーチャージ「込み」でわかりやすく、12月にはブリスベン線も

カンタス航空(QF)は、2022年9月からの羽田/シドニー線の再開を機に日本向けプロモーションを本格化する。先ごろ都内で旅行業界向けのセミナーとレセプションを開催。レセプションで挨拶に立ったカンタス航空日本支社長の荻野雅史氏は「予約は日々増えており、お客様のなるべく早く海外旅行に行きたいという思いをひしひしと感じている」としたうえで、「ツーリズムの一員として海外旅行を復活させていきたい」と意気込んだ。

同社のリアルでのイベントは約3年ぶり。会場に集まった旅行業関係者からは「やっと本格的に商品造成に着手できる」、「オーストラリアは円安の影響が限定的なうえ、大型イベントも目白押しで新たな仕掛けに期待できる」といった声も上がった。

オーストラリア国内線はコロナ前レベルに回復

カンタス航空は9月13日から週3便体制で羽田/シドニー線を再開したのに続き、10月30日からは毎日運航に増便する。また、12月1日からは羽田/ブリスベン線を週3便でスタートし、ネットワークをさらに拡大する。両路線ともに機材はA330-300型(ビジネスクラス28席、エコノミークラス269席)を使用する。ただし、羽田/メルボルン線は2022年冬期スケジュールまでの運休を決定している。

セミナーでは、同社の最新の状況についても詳しく説明。国内線はコロナ前の2019年レベルまで回復し、主要都市間の路線はほぼ再開していることから、シドニー、ブリスベンを起点に日本から多くの都市へとアクセスできることになる。カンタス航空が運営する国内線ラウンジもほぼ再開している。コロナ前に運航していた関西/シドニー線、新千歳/シドニー線の再開は未定だが、羽田発国内線で日本航空(JL)や、成田発のジェットスター・ジャパン(GK)と接続することで、日本各地からのネットワークも強化できると強調した。

オーストラリアについては、すでにワクチン接種証明の提示が不要になっており、コロナ前と同様、パスポートとETA(アプリからの取得)またはVISAがあれば日本から国際線に搭乗、入国できる。また、9月からは日本路線を含めたオーストラリア行きの国際線、国内線それぞれでマスクの着用が不要になった。

さらに、エコノミークラス機内食のボリュームを50%増量したことを紹介したほか、国際航空運送協会(IATA)が提唱する新流通規格NDCに対応する新流通システム「Qantas Distribution Platform(カンタス・ディストリビューション・プラットフォーム)」に参画する利点なども説明した。

同社が日本線に投入するA330-300型動き始めた修学旅行マーケット

カンタス航空日本支社長の荻野氏はレセプション会場でトラベルボイスの単独インタビューにも応じた。荻野氏は、日本の物価高、円安、燃油サーチャージの高騰と海外旅行を取り巻く環境がいまだ厳しいなか、カンタス航空はオーストラリアの魅力、自社の国内線ネットワークをはじめとする強みを再発信するとともに、航空券販売で燃油サーチャージを含んだ額で表示していることもアドバンテージになると言及。「オーストラリアの公正取引委員会の規程に準じて、2015年より燃油サーチャージ込みの運賃表示としている。高騰する昨今の燃油サーチャージを後から加算する形だと海外旅行への心理的ハードルをさらに上げてしまう恐れがあるとも思われる」などと語った。

今後の需要の見通しについては、業務渡航に加え、修学旅行の予約が少しずつ入ってきていることを明らかにした。「オーストラリアはサンゴの保護、ジェンダーフリーをはじめとしたSDGsが進んでおり、カンタス航空としてもバイオ燃料を始め、さまざまな取り組みに着手している。教育旅行マーケットをはじめ、こうした取り組みもアピールしたい」とした。

カンタス航空日本支社長の荻野雅史氏2023年は大型イベントが目白押し

セミナーでは、オーストラリア政府観光局(TA)もオーストラリアの最新情報を紹介。同政府観光局は2021年9月に、旅行会社向け「オージー・スペシャリスト・プログラム(ASP)」のウェブサイトをリニューアル。現在は、毎月2回ずつ、1つの州にフォーカスして最新情報を提供するウェビナーを実施している。

また、2023年にはLGBTQ+の国際的な祭典「ワールドプライド」が南半球で初めてシドニーで開催されるほか、女子サッカーワールドカップがニュージーランドとの共催でおこなわれる。世界遺産であるオペラハウス50周年に向けてオリジナルツアーが造成されていること、2032年のオリンピック・パラリンピックが開催されるブリスベンの開発状況なども紹介した。

いよいよ動き始めた日本からオーストラリアへの旅。オーストラリアは、ハネムーナーはもちろん、ファミリー、修学旅行、アドベンチャーツーリズムなど幅広いポテンシャルを秘めたマーケットである。空のネットワーク再開が復活を大きく後押ししようとしている。

五輪を前に進化を続けるブリスベン

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