エイチ・アイ・エス(HIS)代表取締役社長の矢田素史氏が、2023年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
矢田氏は、2022年は北京冬季五輪からロシアによるウクライナ侵攻まで、世界の変化を感じた1年だったと述懐。世界の航空座席の供給数が2019年比で9割程度にまで回復するなか、日本でも国内線が回復する一方で、国際線はいまだ5割程度の回復にとどまっていることを危惧した。
そのうえで、今後のHISグループは、基幹の旅行事業の定常化に専念するとともに、旅行事業の隣接・周辺・関連分野に事業ポートフォリオを拡げる方針を提示。地方創生や地域振興などの新たな分野での連携事業、M&A、投資などで、非旅行事業に積極的に挑戦する方針を述べた。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
2023年 新年のごあいさつ
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
2022年は、世界の変化を感じた1年でした。スポーツイベント分野では、北京冬季五輪(2月)にて、日本は史上最多のメダルを獲得し、サッカーのカタールW杯(11月~12月)では、日本代表が強豪のドイツとスペインに勝利し決勝トーナメントに進出しました。一方、経済社会分野では、2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻に世界は震撼し、世界経済にいまなお暗い影を落としています。そこに端を発した原油高、インフレ、円安など、社会から我々の生活まで、大きな影響がありました。また、新型コロナウイルス感染症の流行も3年目に入り、欧米を皮切りにウィズコロナの時代に移行しました。日本市場においては、7~8月に発生した新型コロナウイルス感染症の第7波が収束すると、10月から始まった全国旅行支援により国内旅行の需要と水際対策の緩和により訪日旅行の需要が急速に回復しました。世界の航空座席の供給数が2019年比で9割程度にまで回復するなか、日本でも、国内線が回復する一方で、国際線はいまだ5割程度の回復にとどまっています。
このたび、HISグループでは、43期「マインド改革」の一環としてパーパスを「“心躍る”を解き放つ」と制定し、パーパスを実践するための行動指針として「冒険と挑戦」「スピードとアジリティ」「バランスと倫理観」「明るく元気に」の4項目をバリューとして掲げました。
パーパスを制定する際には、「より多くの方に世界を知っていただくことが、相互理解を深め、ひいては世界の平和に資する」という創業の理念に立ち返り、「顧客をはじめとするステークホルダーに内在する“心躍る”想いを解き放つお手伝いをすること」がHISグループの存在価値であると再認識しました。さらに、創業以来42年間の事業活動で醸成されてきた企業文化を形成している価値観をバリューで表現しました。このパーパスとバリューをHISグループ社員が共有し、実践していくことが企業価値の向上に直結するとともに、サステナビリティ経営に資するものと考えます。
今後のHISグループでは、旅行事業とともに非旅行事業の構成を高めていく多角化を推し進める「事業構造改革」を行ってまいります。まずは、基幹の旅行事業の定常化に専念するとともに、旅行事業の隣接・周辺・関連分野に事業ポートフォリオを拡げつつ、地方創生や地域振興などの新たな分野での連携事業、M&A、投資などで非旅行事業に積極的に挑戦し、ステークホルダーの皆様のご期待に応えてまいります。
本年も引き続き、皆様方のHISグループへのご支援、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願いいたします。
株式会社エイチ・アイ・エス
代表取締役社長 矢田素史