ナビタイムジャパンは先ごろ、「データから読み解く最新インバウンド動向」と題したウェビナーを開催した。訪日外国人旅行者向けにナビゲーションと観光情報を提供するアプリ「Japan Travel by NAVITIME」で取得したデータを分析し、発表した。同社のインバウンドデータは「目的地までの行き方を調べる検索データと位置情報データの2つで、移動の需要と実績をあわせた情報を集計・分析できる」(交通データ事業部副事業部長の永森枝里子氏)のが特徴だ。
発表によると、2022年9月1日以降の同アプリの利用者数(日別アクティブユーザー数)は、10月以降の水際対策の緩和が発表された9月22日以降、日本国外での利用が急増。10月30日には9月1日時点の4.6倍に増加した。
永森氏は「これだけ利用者が増加しているということは、その後、日本に来て同アプリを利用する人が増えることがうかがえるデータ」と説明。実際、日本で取得したGPSデータサンプル数は10月中旬以降に増加し、12月31日時点ではコロナ前(2019年11月1日比)の6~7割まで回復していた。
2022年10月~2023年1月にGPSデータを取得した地点を見ると、北は北海道の宗谷岬のあたりから南は沖縄まで広がっており、コロナを経て戻ってきた訪日旅行者が日本の地方でも観光行動をしていることが見て取れた。
このほか、永森氏は同社のインバウンドデータを分析することで、日本人にはあまり知られていないが、訪日客には人気となっている観光資産が見つけられると説明。その一例として、富士山と桜と五重塔を一望できる山梨県の「新倉富士浅間神社」が有名だが、今回のウェビナーでは福岡県篠栗町を紹介した。同町の巨大な涅槃像のある「南蔵院」の周辺に、タイからの旅行者が多く訪れていることが分かったという。
さらに永森氏は、訪日客の国・地域別で同じエリアでも訪問先などが異なることも紹介。例えば、2022年の愛媛県での位置情報データを見ると、松山城や道後温泉の周辺は米国や豪州、フランス、スペインなどの欧米からの訪日客が多いが、しまなみ海道や瀬戸内国立公園のほうはインドからの訪日客が多かったと説明した。