韓国が本格的に日本からの観光客誘致を再開した。2023年2月、韓国観光公社(KTO)を中心に、ソウル特別市をはじめとした韓国自治体や観光業関係者で構成した韓国観光代表団が来日し、「2023韓国観光セミナー&商談会」を開催。2023/2024年を「韓国訪問の年(Visit Korea Year 2023-2024)」としてプロモーションを加速する方針を示すとともに、韓流コンテンツ、各地のイベントを紹介し、日本の旅行会社と商品造成に向け熱心な商談を交わした。
コロナ禍の3年で韓国は大きく変化した
ようやく復活の兆しが見え始めた日本のアウトバウンドの中でも、大きな伸びが期待されるのが訪韓旅行だ。2022年12月の日本人出国者数は43万人に過ぎなかったが、国・地域別のトップは韓国の8.4万人だった。とりわけ、Z世代の女性の間での韓国人気は高く、観光庁が先ごろ実施した意識調査でも人気の旅行先トップに韓国が上がった。
KTOが開催したセミナーでは、KTO社長の金長實(キム・ジャンシル)氏が登壇。「3年以上にわたるコロナ禍で、日韓両国の観光業界は非常に厳しい経営を強いられたが、2023年には本格的な回復軌道に乗るものと期待している」との認識を示したうえで、「私の来日は2017年以来となるが、東京が大きく変化していて驚いたように、韓国にも世界中を魅了するコンテンツがソウルだけでなく地方にも次々誕生している」と強調。2023年から2024年を「韓国訪問の年」とし、「韓国政府、KTO、韓国の自治体が一体となって、皆さんを迎える準備を整えている。東京、大阪、福岡の日本支社も全面的にサポートする」と意気込んだ。
Kカルチャー観光イベント100選を選定
2003年のドラマ『冬のソナタ』の大ヒットで韓流ブームが巻き起こってから20年。「韓国訪問の年」では、「Kカルチャー観光イベント100選」を選定し、K-POPコンサートをはじめ、eスポーツ、韓食、文化遺産と連携した主要イベントを実施する。韓流スターとともにジョギングしながらごみ拾いする活動など、誘客に向けてK-POP、韓国ドラマのスターを前面に打ち出す。最新カフェめぐり、韓服を着た観光など、日本の若者世代を意識したコンテンツも強化する。
ロケ地めぐりにも力を入れる。ソウル近郊でドラマ『イカゲーム』『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』、釜山で映画『ベイビー・ブローカー』、完州や済州島でBTSミュージックビデオなどのロケ地めぐりコースをすでに造成しており、各自治体が日本の旅行会社にアピールした。
プロモーションでは、SNSを活用した消費者参加型のコンテンツを拡大する。SNSチャンネルを整備し、SNSを活用した広報コンテンツの提供、インフルエンサーによる参加型コンテンツを拡大する。
また、MICEについては、ソウル特別市が国際会議に最大2億8000万ウォン、仁川広域市が最大1億ウォンなどの財政支援を発表しているほか、他の自治体も宿泊、広報動画、人材支援などを次々と打ち出しており、誘致に力を入れる姿勢を顕著に示した。
楽天、HISと共同プロモーションで覚書締結
日本から韓国への旅行促進では、KTOは楽天グループ、エイチ・アイ・エス(HIS)と新たに覚書を締結したと発表した。
楽天トラベルは2023年4~9月の9カ月間で、韓国への旅行数を2019年実績の約7割まで回復させることを目標に掲げると発表。「再燃!韓国旅!」と銘打ち、韓国のコスメ、エンタメのファン層などを主要ターゲットとし、KTOと共同でプロモーションする。新たな試みでは、楽天市場や楽天トラベルで蓄積した楽天会員に基づいた分析データを活用した広告配信、楽天グループ内の各種サービス上でのプロモーション展開も予定している。楽天とKTOは2008年に訪韓旅行促進に向けた第1回目の覚書を締結している。
HISがKTOと協約を結ぶのは初めて。釜山、済州、大邱など日韓直行路線の就航都市や韓国観光拠点都市である釜山、江陵、安東、全州、木浦を中心に地方観光商品をより充実させ、地域・テーマ別の観光コンテンツの広報強化、共同マーケティングを展開するとした。