「第31回日本医学会総会 博覧会」が東京国際フォーラムおよび丸の内エリアで2023年4月23日まで開催されている。日本医学会の総会に加えて、丸の内エリアの徒歩圏内でさまざまな医療関連の展示を実施。総会参加の医療関係者だけでなく、大手町・丸の内・有楽町(大丸有)エリアで働く人たちや一般の人たちも参加できる新しいスタイルの「都市型MICE」として、期間中、約40万人の来場を見込む。4月15日に行われた開会式とともに開催概要を取材してきた。
第31回日本医学会総会の春日雅人会頭は開会式の挨拶で、学術講演と展示を一体化することについて、「一般市民にも医療の課題を知ってもらうことで、未来を示すこと」と位置付けた。また、小池百合子東京都知事は、新型コロナが新たなステージに入る時期に開催されることで、「展示と体験を通じて学ぶことで、東京と日本の持続可能な社会に向けた原動力になりうる」と話し、今回の市民参加型のMICEの意義を強調した。
総会の開催期間中、丸の内エリアではさまざまな街ぐるみイベントが企画されている。仲通りでは近隣オフィスで働く人による「綱引き大会」をランチタイムに開催。今年は全48組、総勢288人が参加する予定だという。健康増進の啓発だけでなく、チームビルディングの機会としても期待されている。
また、三菱地所が提供している旅アプリ「膝栗毛」を活用して、期間限定でスタンプラリーも開催。博覧会会場と丸の内・有楽町エリアで指定のQRコードを読み取ると、ゴール地点の観光案内所「Have a Nice TOKYO!」で景品がもらえる。
さらに、「丸の内仲通りアーバンテラス」に設置されるテーブルが博覧会用に特別装飾するほか、大丸有エリアを周回する「丸の内シャトル」も特別ラッピングすることで、来場者の機運を盛り上げる。
このほか、イベント参加店舗での発酵メニューの提供、ウェルビーイングや健康増進に関する各種講演、タウンコンサートなども開催される。
DMO東京丸の内の取り組みとは
「第31回日本医学会総会 博覧会」の窓口となったのがDMO東京丸の内。大丸有での都市型MICEの誘致に特化したDMOとして、三菱地所を中心に2017年4月に設立された。藤井宏章事務局長は「三菱地所が保有する施設だけでなく、周囲と連携しながら、いろいろなイベントを開催していくことを考えている。街全体に効果を波及させることを心がけて、誘致および開催支援している」とその目的を説明する。
大丸有エリアは以前は働きに来るだけの街だったが、現在では一般消費者も訪れる街になった。また、コロナを経て、働き方も変わってきた。藤井氏は「日本医学会総会のようなビジネスイベントを誘致することで、このエリアで働く人と訪れる人との交流を通じて、新しいビジネスを創造してもらうことを目指す」と話す。
最大の特徴は、IR(統合型リゾート)などでのMICEとは異なり、街全体がユニークベニューになること。「参加者に街に出てもらい楽しんでもらう」(藤井氏)ことで、周辺店舗への経済波及だけでなく、新しいビジネスの発想に繋げてもらいたい考えだ。
昨年10月の水際対策の大幅な緩和後、海外からの問い合わせも増えているという。2023年3月時点の問い合わせ対応件数は前年同期比200%の151件、そのうち17件がすでに成約している。