世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)はこのほど、2023年の経済影響調査(EIR)を発表した。日本の旅行観光分野のGDP貢献度は2885億ドル(約41.3兆円)に達すると予測。コロナ禍前の2019年の3065億ドル(約43.8兆円)と比較すると、6.8%減まで回復する見込み。2023年末までには観光分野の貢献度がGDP全体に占める割合がは6.8%に達する可能性があるとしている。
また、パンデミックの影響は2023年を通じて残るものの、旅行観光分野では新たに約47万人の雇用が創出され、合計560万人に達すると予測。これは、総労働人口のうち12人に1人が直接的あるいは間接的に旅行観光分野で雇用されることになる。パンデミック前と比較すると、まだ約30万人少ないが、WTTCの調査では、今年末までに2019年水準の5.2%減にまで回復すると予測されている。注目されるインバウンドについて、「2023年の訪日外国人の支出額は、前年比553.4%増の168億ドル(約2.4兆円)と急増すると見込むが、2019年比では依然として57.6%減にとどまる。
一方、2022年の旅行観光分野のGDP貢献度は前年比50.5%増の2570億ドル(約36.8兆円)だった。全体では6.2%。国内旅行の支出額は同61.6%増となり、2019年比で0.2%減にまで回復した一方、外国人旅行者の支出額は同31%減、2019年比93.5%減となった。
WTTC 社長兼 CEO のジュリア・シンプソン氏は「旅行と観光は、日本の経済成長と雇用創出の重要な推進力。日本への旅行が再開されることで、世界の旅行観光市場が大幅に後押しされる」とコメント。WTTCでは、日本のGDP貢献度は2033年までに3534億ドル(約50.5兆円)、全体の8%を占めると予測。雇用者数も670万人に増加すると見込んでいる。
なお、2023年のアジア太平洋全体での観光GDP貢献度は、2019年比16%減の2.6兆ドル(約372兆円)と予測。雇用者数は、2024年末から2025年初頭にかけて、パンデミック前の水準に回復すると見ている。
※ドル円換算は1ドル143円でトラベルボイス編集部が算出