グローバル・ビジネス・トラベル・アソシエーション(GBTA)はこのほど、ビザ(Visa)ととともに「2023GBTAビジネストラベル・アウトルック」を発行し、今後のビジネストラベル市場を予測した。世界の法人旅行市場は、1年前の予測よりも早いペースで回復しており、2024年にはパンデミック前の支出水準の1.4兆ドル(約203兆円)を超え、2027年までには1.8兆ドル(約261兆円)に拡大する見込みだ。調査は、世界5つの地域の計4700人のビジネス旅行者から得られたデータに分析を加えたもの。
これによると、2022年の法人旅行の支出は前年比47%増の1.03兆ドル(約150兆円)で、2023年も前年比32%増となる見通し。GBTAは、パンデミック後の反動需要や好調な世界経済のほか、景気後退リスクがまだ見られないことから、成長が続いていると分析している。
こうした結果を受け、GBTAのスザンヌ・ニューファングCEOは「過去1年、世界的に出張の回復には逆風が吹いていると思われていたが、現実にはそうならなかった。予想よも早くパンデミック前の水準に回復し、今後数年間で更なる成長が見込まれる」と述べている。また、GBTAグローバル部門シニア・バイスプレジデントのグロリア・コルガン氏は「旅行が回復する中、ビジネストラベル分野でもデジタル決済は今後も成長する」と予測した。
「出張 + レジャー」を好む傾向強まる
地域別に見ると、2022年に最も急速に回復したのは西欧。このほか、北米と中南米も出張支出が伸びた。一方、ウクライナ戦争の影響を受けた東欧、中国の国境再開が遅れたアジア太平洋は、大きく出遅れた。昨年の中国の出張支出は前年比4.6%減なり、2014年以降初めてビジネストラベル市場で2位となった。しかし、GBTAでは、2023年末までには中国は再び1位に返り咲くと予測している。
2022年の出張者一人当たりの支出は1回あたり平均1018ドル(約14.8万円)と推定。内訳は、宿泊費391ドル(約4.7万円)、飲食費189ドル(約2.7万円)、航空運賃182ドル(約2.6万円)、陸上交通費136ドル(約2万円)、雑費120ドル(約1.7万円)。
また、調査では、世界の出張者は出張とレジャー旅行を組み合わせるブレジャーを選ぶ傾向が高まっており、2022年の割合は62%。42%がレジャーのために出張に滞在日を追加しており、79%がレジャーでも出張と同じホテルに滞在していることも分かった。
※ドル円換算は1ドル145円でトラベルボイス編集部が算出