ANAは、2023年度上半期(2023年4月1日~9月30日)の営業実績を発表した。旺盛な訪日需要とレジャー需要に支えられ、国際線旅客・国内線旅客ともに好調に推移したことから、売上高は上期として過去最高を記録。コロナ禍で進めた事業構造改革の成果も見られたことから、営業利益も過去最高となった。これを受けて、通期業績予測を据え置くものの、5期ぶりに1株あたり30円で復配することを明らかにした。
売上高は前年同期比26.8%増の1兆30億円、営業利益は同312.6%増の1297億4000万円、経常利益は同32.1%増の1273億3000万円、四半期利益は同377%増の932億円を計上した。
国際線は年末までにコロナ前8割に、長距離で高い利益率
国際線旅客は、訪日需要が堅調に推移したことに加え、北米/中国間などの接続需要や日本発のレジャー需要を積極的に取り込んだ結果、旅客数・収入ともに前年同期を上回った。旅客収入は同122.1%増の3586億円、旅客数は同109.1%増の約350万人。
決算会見でANAホールディングイスの芝田浩二社長は、「便数は戻っていないものの、イールドが高くなった」と説明。その要因について、北米方面で北米/中国間に加えて、北米/アジア間の需要が高まり、欧州方面では日本発のビジネス需要と欧州発のレジャー需要が好調なことから、全体的に需要に供給が追いついていないことを挙げた。
また、今後については年度末までには国際線の需要はコロナ前の8割程度に回復するとの見込みを示した。インバウンドが好調な一方、アウトバウンドは現状コロナ前の35%程度と伸び悩んでいる。芝田社長は、その要因として円安を挙げたうえで、「インとアウトのバランスを考えると1ドル125円程度が適切ではないか」との認識を示した。
国内線は年末にコロナ前水準に回復か
国内線旅客については、、台風などによる悪天候の影響を受けたものの、「ANA SUPER VALUEセール」の実施などによりレジャー需要の喚起に努めた結果、旅客数・収入ともに前年同期を上回った。旅客収入は同33%増の3229億円、旅客数は同34.6%増の約2040万人。芝田社長は「ビジネス需要は当初予想よりも弱いが、レジャーについては年末に向けてはコロナ前の水準に戻るだろう」と見通した。
Peach Aviationも、旅客数・収入ともに前年同期を上回った。旅客収入は同65%増の673億円、旅客数は同27.1%増の約468万人。ただ、芝田社長は、福島第一原発の処理水放出以降、「中国からの予約の入り込みは減少している」と明かした。
2023年度通期の連結業績予想は、売上高1兆9700億円、営業利益1400億円、経常利益1150億円、純利益800億円に据え置く。足元の需要は底堅く、下期も旅客需要の回復が見込まれるが、プラット&ホイットニーのエンジン点検の影響に加えて、原油市況のリスクやリソース確保のための費用などで約400億円程度の影響を見込む。芝田社長は「現状は期初の計画を上回っている。予想の上積みを目指していく」と付け加えた。