日本旅行業協会、不正根絶に向けて有識者会議を設置、再発防止策の策定へ、内部通報窓口も

日本旅行業協会(JATA)は、会員旅行会社によるコロナ禍の間の不正請求・受給など一連の不祥事を踏まえ、再発防止策の作成を指導助言する有識者委員会を設置した。観光庁の指導のもと、外部の視点を取り入れる目的で設置したもの。数回の会合を経て、年度内に再発防止策の取りまとめ、速やかに実施に移す。これにより、不正の根絶を図り、旅行業界の信頼回復に努めたい考えだ。

このほどJATAが開催した記者会見で、会長の髙橋広行氏は、度重なる不正の発生に対し、「旅行業界全体の信頼を失墜させてしまったことは痛恨の極み。これまでの取り組みが結果として十分でなかったといわざるを得ない。業界の代表として深く反省をし、お詫びを申し上げる」と述べた。

有識者委員会は、元地検特捜部の弁護士や内閣府の入札等監視委員会などを歴任した公認会計士など、コンプライアンスと企業倫理の専門家5名で構成。委員会には、(1)会員各社による点検調査での留意事項、(2)点検結果からの原因分析、(3)JATAのこれまでの再発防止対策の評価と改訂に向けた指導助言、の3点を依頼する。

これまでJATA会員である大手会社の間で雇用調整助成金の不正受給、GoToトラベルなど政府の旅行支援事業に関わる不正受給、自治体の受託業務における過大請求などが発生。これを受け、JATAは2023年5月、観光庁の指示のもと会員各社の「総点検」を実施した。この時点では新たな不正事案は判明しなかったが、同11月に青森市のコロナ関連業務の入札案件で、大手の会員会社5社の談合疑いが発覚した。

「総点検」で不正が発覚されなかったことについて、髙橋氏は「責任のある立場の方の回答であり、各社は徹底した社内調査を実施したと理解しているが、それでも表面化しなかったのだと思う」と説明。現在の調査方法や質問の仕方などについて専門家の評価・助言をもらい、より効果的な方法を追求していく方針を示した。

このほかJATAでは、コンプライアンスの取り組みに関する手引きの策定や、経営者向け研修、職員向けeラーニングなど、再発防止に向けた対策を実施してきたという。

理事長の蝦名邦晴氏は「これまで講じてきた対策が、会員企業の現場にまで広く周知徹底されておらず、不十分だと反省した。二度との不正の事案が発生しないよう、徹底した意識改革を図る」と話した。

なお、JATAは再発防止策の1つとして、2023年12月7日に内部通報専用の窓口「コンプライアンス通報相談窓口」を設置。直通の電話番号で対応する。

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