国交省、長崎県のIR計画を認定せず、資金調達面などの課題を指摘

2023年12月27日、国土交通省は、長崎県とKYUSHUリゾーツジャパンが申請していた「九州・長崎特定複合観光施設(IR施設)区域整備計画」について、認定しない判断を発表した。

国交省が設置した外部有識者が校正する審査委員会が、「特定複合観光施設区域の整備のために必要な基本方針」に準じて確認した結果、要求基準に適合しないとの見解に至ったとしている。

今回の計画は、2022年4月に申請されたもの。今回の判断に至った根拠として、審査委員会は、(1)資金調達の確実性を裏付ける根拠が十分と言い難いこと、(2)カジノ事業の収益の活用によるIR事業の継続的な実施やカジノの有害な影響の排除に関する適切な実施を裏付ける根拠が十分であると言い難いこと、の2点を提示している。

具体的には、申請時以降、出資・融資予定者が大きく変わっているうえ必要な資料(レター)が整備・提出されておらず、また、出資予定者について、IR事業の経営経験を有する企業の出資割合が極めて小さく、IR事業の適切・継続な実施を見込みにくい点などを指摘。さらに、カジノの有害な影響の排除に関する適切な措置が不十分だとして、総合的に不適合の判断を下したとしている。

長崎県では、テーマパーク「ハウステンボス」に隣接する地域を今回のIR区域に設定。2022年に整備計画を申請し、2027年秋ごろの開業を目指すとしていた。

今回の審査結果に対し、長崎県の大石賢吾知事は「極めて遺憾」としてコメントを発表。発表された審査内容への反論とともに、国に対して十分な説明を求める考えを示している。

日本におけるIRは、2023年4月に国が大阪府の計画を初めて認定。IR法では、当面の国内施設数を3カ所までとしている。今回の長崎への認定が見送られることで、具体的に開業に向けて動き出しているのは大阪のみとなる。

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