東南アジア3カ国、中国人旅行者の誘致にビザ免除などで積極姿勢、一方で海外旅行に陰りとの分析も

写真:ロイター通信

シンガポール、タイ、マレーシアの東南アジア3カ国は、春節の休暇に向けて、中国人旅行者に対するビザを免除する大胆な措置に出た。目的は、言うまでもなく、中国人旅行者を呼び込み、お金を落としてもらうためだ。

中国政府は昨年、新型コロナに伴う渡航制限を解除したが、中国人の間ではビザ取得に時間がかかり過ぎると不満が高まっていた。ヘンリー・パスポート・インデックスによると、ビザなしで渡航できるパスポートランキングで中国は199カ国中62位と低い。

しかし、アナリストの中には、中国の経済成長鈍化、雇用不安、収入減少などによって、海外旅行を控える動きが出る可能性が高いと指摘する人もいる。航空データ分析会社チーフアナリストのジョン・グラント氏は「中国は経済的に苦境に陥っており、中国人の可処分所得も下がっていることから、旅行費用が抑えられる国内旅行にとどまっている」と分析している。

2019年にタイを訪れた外国人旅行者のうち約4分の1以上が中国から。シンガポールでは、中国人旅行者は年間40億シンガポールドル(約4400億円)を使った。

タイは昨年9月に中国人旅行者らに対するビザを免除。現在、外国人旅行者の大半を中国人が占め、タイ国政府観光庁は、春節休暇期間の中国人旅行者は2023年の3倍以上になる17万7000人にのぼると見ている。

マレーシアは昨年12月にビザ免除を開始。今年はパンデミック前のほぼ2倍となる500万人~700万人の中国人旅行者を見込む。

シンガポールは、中国人受け入れではタイやマレーシアよりも先を行っている。2月の中国との直行便は2019年同月比で5%近く増加した。一方、航空データ分析会社シリウムによると、マレーシアは同33%減、タイは同17%減とパンデミック前の水準には回復していない。

※シンガポールドル円換算は1シンガホールドル110円でトラベルボイス編集部が算出

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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