ウクライナ国家観光開発庁(SATD)は、ロシアとの戦争終了後の観光復興を見据えて、エアビーアンドビー(Airbnb)、エクスペディア(Expedia)、ビジット・ベルリン(Visit Berlin)など複数の旅行関連事業者と契約を結んだ。同庁のマリアナ・オレスキフ委員長は、プロモーションエリアは、首都キーウ近郊のイルピンからブチャやホストメルなどの都市を経由してチェルノブイリに至る戦争跡地のルートになるとの見方を示している。
オレスキフ氏は、「最も簡単な方法は忘れることだが、その場合、私たちはトラウマを乗り越える必要がある。次世代だけでなく、海外からの訪問者にもそれを伝える義務がある」と話した。
ロシアとの戦争の終結は今のところ見通せない。その中でも、同庁はトリップアドバイザー(Tripadvisor)やブッキング・ドットコム(Booking.com)とも話し合いを進めていることを明らかにしている。
ユネスコは2024年2月、ウクライナの文化・観光分野の回復には10年間で90億ドル(約1.3兆円)を必要とする試算を明らかにした。 その報告書によると、2年にわたる戦争によりこれまでにウクライナは196億ドル(約2.9兆円)以上の観光収入が失われた。
2023年の国内旅行者は2021年水準近くまで回復。同庁は、観光産業を支えていくために、現在は国内旅行者に対する施策に焦点を当てている。同庁の調査によると、危険を理由に国内旅行を避けているウクライナ人は全体の20%に過ぎないという。
※ドル円換算は1ドル148円でトラベルボイスが算出
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