ブッキング・ドットコム(Booking.com)は、日本でも「LGBTQ+」の認証プログラム「Travel Proud(トラベル・プラウド)」の取り組みを開始した。今後、この認証を受けた宿泊施設は同社サイト上でLGBTQ+フレンドリーであることを示す認証バッジが付与されることになる。
同プログラムは、2021年に英語圏で開始されたもの。アジア圏での展開は日本が初めてとなる。
具体的には、ブッキング・ドットコムが宿泊施設に対してLGBTQ+への理解を深め、宿泊客を迎えるためのトレーニングを日本語で実施。認証取得後は、配布されるマニュアルに沿った運用をしていく。同社では3月に日本の宿泊施設に対して募集を開始。現時点で130を超える施設が認証を取得した。今後も追加のトレーニングを実施する計画で、さらに認証を取得する施設を増やしていきたい考えだ。
誰もが本来あるべき「体験」をできるように
日本でのプログラム開始にあたって、同社は発表会を開催。来日したアジア太平洋地域担当マネージング・ディレクター兼副社長のローラ・ホールズワース氏が、日本での同プログラム導入の背景を説明した。
ホールズワース氏は、コロナ禍を経て「旅行を取り巻く環境は大きく変化した。旅行者は、これまで以上に旅に対して大きな効果を求めている」と話し、より満足度の高い旅行体験を提供する重要性を指摘。そのためには「旅行業界にとって、インクルージョンという考えがますます重要になってくる」との見方を示した。
世界で日本への旅行の人気が高まる中、今後はさらに多様な人々が日本を訪れるようになる。同氏は「一人一人の体験を大事にする必要がある。すべての人が素晴らしい体験をするためにLGBTQ+への対応は必須」と同プログラムが英語圏だけでなくアジアで展開されていく意義を強調した。
プログラム発表会では、旅行を取り巻くLGBTQ+への対応をテーマにトークセッションも実施。その中では、当事者である登壇者が「トランスジェンダーであることで、旅先で不快な経験や不利益を受けたことは少なくない」、「遠慮ではなく『配慮』を感じれられると気持ちが変わる」などと話した。
同認証プログラムの利点については「認証バッジがあることで、自分のコミュニティを見つけられる」「認証がある施設には、自分たち受け入れられているという信頼感を持てる」と日本での展開に期待を寄せた。
トラベルボイス編集部 山岡薫