【年頭所感】ナビタイムジャパン トラベル事業部 事業部長 毛塚大輔氏 ―訪日リピーターが重要な存在に、課題と向き合いサービス改善を

ナビタイムジャパンのトラベル事業部事業部長の毛塚大輔氏が、2025年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。

2024年、同社ではインバウンド市場の急激な回復に伴い、訪日外国人向けナビゲーション『Japan Travel by NAVITIME』の機能を強化し、交通チケットの個別乗車券予約、新たに数十万件の施設情報、バス路線名やリアルタイム運行情報の多言語化、生成AIを活用した旅行プラン作成を導入した。毛塚氏は、こうした取り組みでゴールデンルートだけでなく、地方観光地への経路検索をきめ細かにサポートできるようにしたことが評価され、第8回「ジャパン・ツーリズム・アワード」で経済産業大臣賞を受賞するに至ったと自信をみせた。

そのうえで、2025年は安定的かつ持続可能な観光市場を形成していくために、訪日リピーターの存在が重要な役割を果たすと言及。課題に向き合いながらより快適な旅行計画、移動支援を提供できるよう、サービス改善に取り組むと力を込めた。

発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。


年頭所感

新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

日頃より関係企業や自治体の皆様には、多大なるご支援とご協力を賜り、心より感謝申し上げます。

昨年は、インバウンド市場がコロナ禍以前を上回る勢いで回復し、多様化する旅行者ニーズへの対応がより一層重要となりました。当社でも、この変化を捉えるべく、訪日外国人観光客の体験向上を目指し、観光ナビゲーションサービス『Japan Travel by NAVITIME』の機能強化を図るとともに、観光地や事業者様向けにデータ分析や集客支援サービスを展開し、インバウンド領域を軸に事業を進めてまいりました。2024年10月は、日本政府観光局(JNTO)による訪日外客数は331万人となり、単月での過去最高を記録していますが、本サービスの利用者もお陰様で急成長しております。

昨年の主な取り組みとしては、インバウンド関連でのユーザー向けのサービス開発と、自治体・事業者様向けの集客支援や観光案内業務支援サービス提供、データを活用した事業を進めてまいりました。

交通チケット予約サービスの充実

ニーズの多様化や訪日外国人向け周遊パスの価格改定等を背景に、新幹線や特急列車の一部区間の個別乗車券を予約したいというニーズが急増しました。これに対応し、来日前に多言語でルート検索結果から座席予約を行える機能を導入したことで、日本到着後の手続きが不要となり、利便性が向上しました。個別乗車券を利用することで移動ルートの自由度が高まり、経路検索を通じて新たな観光地の発見につながるなど、地方への誘客促進にも寄与しています。

通信インフラの充実

eSIMサービスの提供を開始し、訪日前から旅行者が快適な通信環境を整えられるようにしました。これにより、日本国内でのナビゲーションや観光情報へのアクセスが格段に容易となり、旅行者の体験価値向上に貢献しています。引き続き、移動に欠かせない通信インフラの充実においても、さらなるサービス向上を図ってまいります。

ナビゲーションサービスの強化

訪日客が日本全国をスムーズに旅できるよう、観光地の交通情報や施設情報の多言語化を一層推進しました。新たに数十万件規模の施設情報を多言語対応し、バス路線名やリアルタイム運行情報などの交通情報の多言語化も強化しました。カーナビゲーション機能も刷新し、ゴールデンルートを中心とする都市部だけでなく、地方観光地への経路検索もきめ細かに多言語でサポートできるサービスとなりました。また、新たに生成AI技術を活用した旅行プラン作成機能を導入し、旅行者のニーズに応じた効率的な旅行計画を支援しています。今後も、旅行計画から現地での移動まで包括的にサポートする革新的な機能として、進化を続けてまいります。

データ活用による集客支援と広域周遊促進

『Japan Travel by NAVITIME』アプリのユーザー動態データを活用し、データで把握できた訪日客の移動パターンから、観光地やショッピングモール、飲食店、ホテル・旅館などの宿泊施設への集客支援、移動動線を考慮したプロモーション施策を多くの企業様や自治体様に採用いただきました。また、日本人にもあまり知られていない「+1観光資源」を発掘して紹介しています。例えば、主要スポットとその付近にある隠れた観光地を組み合わせた広域周遊プランを提案することで、旅行者に新しい発見を提供するとともに、地域経済への直接的な効果を目指した取り組みも行ってまいりました。

こういった取り組みに関しては様々な評価をいただいており、第8回「ジャパン・ツーリズム・アワード」にて経済産業大臣賞を受賞するに至りました。

リピーター創出で持続可能な観光支援

2025年を迎え、観光業界はさらなる成長と変革の局面を迎えています。

大阪・関西万博の開催も控え、訪日客の増加が期待されるなか、安定的かつ持続可能な観光市場の形成において、訪日リピーターの存在が重要な役割を果たしていきます。再訪を検討する旅行者は、過去の体験を上回る質の高い体験を求めるとともに、新たな驚きや発見を求める傾向があります。こうしたニーズに応えるため、私たちは継続的に訪日客の課題に向き合い、より快適な旅行計画や移動支援を提供できるよう、サービス改善に取り組んでまいります。

『Japan Travel by NAVITIME』では、ユーザー向けに旅行体験のシェア機能を提供しており、旅行者の体験を次の旅行者へと還元しています。また、事業者様向けには、訪日回数を含む動態分析が可能であり、リピーターのニーズ分析にも活用できます。

こうしたユーザー基盤を活かすことで、受け入れ体制の整備や観光資源の発掘、観光情報の充実に寄与し、集客支援やデータに基づいた施策の推進により、訪日客の旅行がより充実した「特別な体験」となるよう努めます。これにより、地域・観光地や施設の魅力を最大化することを目指してまいります。

本年も引き続き、皆様のご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

株式会社ナビタイムジャパン

トラベル事業部  事業部長 毛塚大輔

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