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国際空港評議会(ACI)と国際民間航空機関(ICAO)は、最新の航空旅客交通レポートを発表し、世界の現状および今後の展望を明らかにした。
それによると、2024年の世界の航空旅客数は、最終的に2019年比104%の95億人になると見込む。ICAO は、2023年初頭の段階で、ほとんどの路線で2023年末までにパンデミック前の水準に戻るか、それを上回ると予測していた。実際には、全体的な回復は、主にアジア路線(特に中国発着路線)の回復の遅れによって、2023年には2019年の水準の94%にとどまっていた。
2024年の地域別の乗客数は、アジア太平洋が34.2億人、欧州が24.7億人、北米が21.7億人、南米カリブ海が7.7億人、中東が4.5億人、アフリカが2.4億人。
また、ICAOは、需要の指標となる有償旅客キロ(RPK)が、2024年は2019年比101%の8.8兆キロとなり、ほとんどの路線でパンデミック前の水準に回復するか、それを上回ると予測。また、2025年には世界のRPKが2019年比108%の9.4兆キロに増加すると予測している。
中長期的見通し、20年後に総旅客数195億人の予測
ICAOとACIはどちらも、長期的には世界の航空業界は継続的な成長を遂げると予測している。
ICAOは、2030年に世界の総旅客数が120億人、2044年までに2024年レベルの95億人から倍増の195億人(約205%)になると予測した。成長を牽引するのは、国際市場、特にアジア太平洋・中東地域。また、世界の航空市場は、先進国から新興国および発展途上国へと移行し、上位20市場と路線の構成が変化し、アジア太平洋・中東地域の存在感が増すと見ている。
ACIは、2042年のトップ10市場を、中国、米国、インド、インドネシア、スペイン、日本、トルコ、英国、ロシア、タイの順になると予測。その10年後、2052年には、中国、米国、インド、インドネシア、スペイン、トルコ、日本、英国、タイ、ベトナムの順とした。このうち、インドネシアは2023年の13位からトップ5に入り、ベトナムは2023年の20位から2042年は11位、2052年には10位に上昇する見込み。
路線別では、2042年のトップは中国/モンゴルの国内線。以下、北米の国内線、欧州域内路線、中国および南西アジア/太平洋南東アジア路線、欧州/北米路線が続く見込み。また、2052年は、トップ4までは変わらず、5位に中東/南西アジア路線が入ると予測している。
高まる不確実性、航空機不足の問題も
同レポートでは、中長期の見通しについて、インフレ圧力の緩和などマクロ経済は好調に推移するとみられるなか、地政学的紛争の激化、労働市場の制約、航空機納入の制約などによって、より慎重にならざるを得ないとしている。国際旅客の緩やかな回復と航空会社の収益性回復は期待できる一方、旅行コストはパンデミック前の水準と比較して依然として高く、世界の貿易政策をめぐる不確実性は今後さらに高まる。
将来展望への不確実性が高まっているものの、現在、航空会社の収益は改善傾向にある。堅調な需要、航空機の稼働率向上、搭乗率上昇によって、世界の航空会社の2024年の純利益は305億ドル(約4.6兆円)に上昇し、純利益率は3.1%、営業利益率は6.0%になると予測されている。
一方で、2024年の航空会社への航空機の引き渡し予定機数は、サプライチェーンの問題によって、当初予想の1777機から1583機に減少。航空会社は、発注した航空機の納入を待っている状況だ。この制約によって、航空会社が拡大する旅行需要に対応できなくなる可能性もある。