シンガポール航空(SQ)は、次世代機内装備を搭載した機材を2013年9月からシンガポール/ロンドン線に投入する。ファースト、ビジネス、エコノミーすべてのクラスで座席を一新し、最新機内エンターテイメントシステム「クリスワールド」を採用。新機材の導入にともなって、順次ほかの路線にも投入していく予定。SQは約1億5000万米ドルを投じ、8機のB777-300ERを皮切りに次世代機内装備を導入していく。今後納入されるA350にも装備する予定だ。
ファーストクラスでは、各座席に背もたれが後ろに倒れないシェル型を採用。流線形のサイドパネルを配したことで、パーソナル空間がつくりだしている。座席幅は35インチ、ベッドの長さを80インチから82インチへと伸長させたことで、旅客機屈指のゆとりを持つファーストクラスとなった。また、快適性を向上させるため、広範囲に及ぶ調査を実施。その結果、人間工学に基づいた形状のクッション、調節可能なヘッドレストにも改良を加え、着席時の快適性を大幅に向上させた。さらに、サポート力を高めるヘッドボードや追加のマットレスといった新しい設備も加わった。
このほか、座席にスタイリッシュなコントロールセットを配し、容易にモニターをオフにできるように新しくスイッチを組み込んだ。これにより、就寝中の乗客を邪魔することなく、客室乗務員がモニターを消すことが可能になる。また、照明の専門家とともに徹底的な調査を行い、読書灯や間接照明にも工夫をこらした。最新の機内エンターテインメントシステムでは、24インチのクリアなLCDスクリーンを採用。ビデオ・タッチスクリーン・タイプのハンドセットも導入した。充電中も電子機器を楽な姿勢で利用できるように、eXポートとUSBポートは座席横に設置した革張りの特別仕様の収納ボックスに独立して収めた。 加えて、HDMIポートも搭載する。
ビジネスクラスでは、132度までリクライニング可能で、人間工学に基づいたクッションを装備した座席を導入。業界最大幅の長さ78インチ(198センチ)のフルフラットベッドにもなる。また、パッドのあるヘッドボードを採用することで、快適性を高めた。さらに、「Lazy Z」「Sundeck」の2つのシーティングポジションも用意。仕事、リラックスなど用途に応じて座席ポジションを変えることができるようにした。
アメニティの収納スペースやラップトップの収納スペースも設置。機内エンターテイメントには18インチLCDスクリーンやビデオ・タッチスクリーンのハンドセット、オールインワンビジネスパネルには電源やUSBポート、eXポート、HDMIポートがそれぞれ備えられている。また、ファーストクラスと同様に、投光照明やLCDモニターのオンオフ電源などもアップグレードした。
新しいエコノミークラスシートは、より個々のスペースや足元をゆったりさせることで、快適性を高めた。コンテンポラリーな生地デザインを採用し、背部をサポートする新しいシートクッションやサイドボルスターを備えている。また、人間工学に基づいて設計されたヘッドレストクッションは、高さの調節が可能で、首周りを快適にサポートする。機内エンターテインメントシステムのモニターは11.1インチ。タッチスクリーン・グラフィカル・ユーザーインターフェース(GUI)を採用し、ビデオ・タッチスクリーンのハンドセットも装備している。
新しい「クリスワールド」は、パナソニック・アビオニクス・コーポレーションの次世代eX3*システムを採用した。この最新機内エンターテイメントシステムを採用するのはSQがはじめての航空会社になる。エコノミークラスでも、1000以上のオンディマンド・プログラムがあり、選択可能なエンターテインメントから複数を選択することもできる。例えば、映画を見ているときに、同時進行で最新のニュースヘッドラインをハンドセットで聞くことや、旅客機の航路を確認することが可能だ。一方で、ハンドセットをタッチスクリーンのトラックパッドとして用い、「クリスワールド」を操作することもできる。さらに、ハンドセット上で指をスライドさせることにより、エンターテインメントのプレイリストが表示される“Quick Search”も導入される。
このほか、「クリスワールド」のダッシュボード上の“通知センター”では、フライトに関する関連情報を表示。機内アナウンスを減らすことで、映画を途切れなく楽しむことも可能になる。また、各プログラムの推奨機能も新たに導入。見た映画を評価できる一方、ほかの乗客がどのように評価したのかを知ることもできる。
次世代「クリスワールド」は、SQの機内インターネット接続サービスも補完。機内インターネット接続サービスの導入はすでに21機で完了しており、来年末までに全てのA380-800およびB777-300ER型機への搭載が予定されている。