新たなルール作りが進められている民泊で、民泊の事業者・仲介業者ともに「登録」「届出」で営業が可能になる。「民泊サービスのあり方に関する検討会」会合で、観光庁と厚労省が提示した民泊の新制度骨子案の一部が了承されたもの。民泊事業者の「登録」「届出」の手続きでは、インターネットを基本とするなど参入しやすいものとした。仲介事業者の「登録」では、観光庁がAirbnbなど外国法人を含む事業者にも「登録」を促していく方針を示している。
新たな制度設計では、民泊を「家主居住型(ホームステイ)」と「家主不在型」に区別。管理者・仲介事業者には一定の責務を課し、匿名性を排除することで安全性・衛生面を確保する。今後、監督行政庁をはじめとした細部が検討されるが、現在示されている具体的な規制の方向性は以下のとおり。違反の際には業務停止命令や罰則を設けることが検討されている。
家主居住型(ホームステイ) -参入しやすい「届出」制度、住居に標識提示へ
家主が居住しながら一部住居を貸し出すホームステイのようなタイプでは、行政庁への「届出」を制度化することで手続きを簡易なものとした。受入れにあたっては、利用者名簿の作成・備え付け(外国人の場合はパスポート写しの保管)、衛生管理、注意事項の説明を義務付ける。また、民泊に利用している住居であることを示す標識の掲示を求める。
家主不在型(管理者規制) -トラブル発生リスクの高さから一歩踏み込んだ「登録」に
出張や休暇で家主の不在期間に、家主不在で貸し出す場合は、管理を委託する管理者を必要とし、その管理者を「登録」する制度とする。「登録」は、行政庁が拒否することができるもの。ホームステイタイプと比較して近隣トラブルなどが発生しやすいことから、一歩踏み込んだ制度としている。
受入れにあたって求められる内容は、家主居住型と同様で民泊物件である標識の提示も含まれる。
仲介事業者 -新たな枠組みでは旅行業登録の必要なし
民泊の物件をネットで紹介・予約・支払いを仲介する事業者に対しては「登録」を求める。観光庁によると、民泊を簡易宿所扱いとする現行制度では、仲介業者に旅行業登録が求められたが、新たな枠組みではその必要がなくなるという。
責務としては、消費者に対して取引条件を説明すること、新たな枠組みの民泊施設であることを明確に表示することを求めていく方向性。行政庁による立ち入り検査、無届出の家主居住型民泊・登録管理者不在の家主不在型民泊などサイトからの削除命令などがだせる枠組みも検討している。
このほか、検討会では既存の旅館・ホテルと異なる取扱いとする民泊の「一定の要件」についても議論。「営業日数」では、民泊をビジネスとしてとらえる観点から長期間とする意見がある一方で、全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会の北原茂樹会長が上限設定をおこなうことを主張。採算性を求めるのであれば、簡易宿所の営業許可を取得すべきであるとの立場を示した。今後の検討では、民泊と既存宿泊施設の線引きとなる「一定の要件」が大きな議論となりそうだ。
トラベルボイス編集部 山岡薫