2017年が間もなく幕を閉じようとしています。今年もトラベルボイスでは旅行・観光・ITビジネスに関わる様々なトピックスを取り上げてきました。その中で、読者の方々の関心を集めた記事のアクセスランキングを発表します(トップ20は下段で一覧)。
今年は日本の旅行会社の動きに注目が集まった年でした。てるみくらぶ騒動からJTBやKNT-CTのグループ再編(2位と19位)。HISの社長交代やホテル事業への注力表明(15位)や、宿泊施設の流通機能として代理販売で収益を得る旅行会社としてのビジネスモデルから直販支援を推奨する事業への転換(4位)など。旅行会社が変わろうとする姿がひしひしと伝わってくるニュースが続きました。
来年は、その具体的な動きがもっとみえてくるでしょう。さらに深堀した取材をして皆さんにお伝えできたらと思います。
OTA各社の動きも見逃せません。ブッキング・ドットコムが日本の民泊施設の掲載を(12位)、楽天トラベルがラブホテル予約(17位)を開始したことにも注目が集まりました。インバウンド需要が拡大する中、民泊の解禁日が決定(3位)し、各社は宿泊カテゴリの追加で素早い対応を進めています。
さらには、ビジネスホテルといわれてきた宿泊特化型ホテルが、レジャーに対応する「都市型ホテル」として数多く開業する予定が発表されています。民泊のひとつ、バケーションレンタル(別荘などの一棟貸し)も存在感を増してくることでしょう。宿泊施設のカテゴリが増えていく中、旅行比較サイト(メタサーチ)やOTA各社が、どう見せて、どう売っていくのか、注目していきたいところです。
一方で、宿泊施設側が自社サイトでの直接販売を拡大させるシステム支援も数が増えてきました。最近では、公式サイトで航空券とセット予約ができるところまで進化しています。これまで都市部では客室不足が叫ばれてきましたが、民泊解禁や新規開業も続々という中、宿泊施設の競争も激化していくことでしょう。
こうした動きに、長い目線でみると一石を投じそうなのが「音声」かもしれません。10位には、アマゾン音声応答スピーカー「アレクサ」で旅行関連の実用サービスが数多く登場したニュースがランクインしています。PCやスマホの「入力」にハードルを感じる層へのアプローチとして「音声」は大きな可能性を秘めています。
果たして、消費者はどこで買うことになるのでしょう。グーグルが旅行プラン作成支援アプリで日本語化などの進化を続けている(6位)ことも忘れてはならないことでしょう。また、ブロックチェーン技術の発展で新たな世界観が生まれるのかもしれません。
さて、最後にランキングトップについて。ご想像の通り、てるみくらぶ騒動の記事が1位になりました。旅行会社への信頼を大きく揺るがした騒動は社会問題化し、ネット上には被害者の怒りの声があふれました。債権者集会、社長逮捕、旅行会社の制度改正にいたるまで注目を集め続けた記事は数多く、騒動に関わる記事は38本。ランキングでは、1つにまとめ、そのうち注目が高かった記事3本を掲載しています。
てるみくらぶ騒動では、旅行商品は航空会社やホテルから直接購入をすべきと冷静に判断する消費者の声も数多くみられました。こうした声が、将来の流通の変化に与える影響は小さくないのかもしれません。
- 1位 渦中の「てるみくらぶ」が記者会見、約3000名が海外渡航中に破たん、経緯説明と旅行者に渡航中止を呼びかけ(2017年3月27日)
てるみくらぶ騒動で何が起きているのか? SNS上で拡大続く悲鳴(2017年3月27日)
てるみくらぶ決算書から読み解く経営の問題点、企業会計のプロに一問一答(2017年4月3日)
てるみくらぶ破綻の真実、3年前から「債務超過」と「多額の粉飾決算」、都内で債権者集会(2017年11月6日)
- 2位 JTBがグループ再編、2018年度に事業会社15社を本社統合、新たに個人・法人の2軸で(2017年4月1日)
- 3位 民泊の解禁日が決定、2018年6月15日に施行、自治体が定める条例の規定基準も定まる(2017年10月24日)
- 4位 HISが宿泊施設の「直接販売の支援」に舵を切る理由とは? 「スマ宿」終了の背景と今後の国内旅行事業(2017年8月21日)
- 6位 グーグル、旅行計画アプリ「Google Trips」が日本語に対応、旅先やレストランを選びやすく(2017年9月11日)
- 7位 HIS連結決算、売上と純利益が過去最高、今後はOTA事業を2ケタ成長の推進役に (2017年5月29日)
- 8位 国交省、過去2年分の外国人旅行者の行動データを公開、インバウンド周遊ルート・泊数・出国空港など(2017年10月10日)
- 9位 新たな大型連休「キッズウィーク」、国内旅行の消費創出効果は0.4兆円、カギは「大人世代の有休取得」(2017年7月8日)
- 10位 アマゾン音声応答スピーカー「アレクサ」で実用サービスが続々、話しかけてホテル探しや航空案内など(2017年11月8日)
- 11位 東京のホテル不足感、2020年には大幅に緩和の見通し、新ホテルの開業ラッシュで(2017年2月7日)
- 12位 ブッキング・ドットコムが「民泊」で日本参入、楽天と提携(2017年12月11日)
- 13位 星野代表が語るビジネスホテルの商機と勝算、新展開する「都市観光ホテル」を第4のブランドに |(2017年4月5日)
- 14位 東京観光で「はとバス」が好調、バブル期並みの利用者93.4万人超、国内利用者が増加(2017年7厚13日)
- 15位 HIS澤田代表が明かした成長戦略、最注力はホテル事業(2017年12月9日)
- 16位 エクスペディア、日本で「ブラックフライデー」セール開催へ、参加ホテルが半額以下に(2017年11月20日)
- 17位 楽天トラベル、ラブホテルなど「レジャーホテル」の予約開始へ、専用サイトと業務提携(2017年8月16日)
- 18位 日本の旅行会社がグローバルOTAと戦うための活路とは? i.JTB三島執行役員に聞いてきた(2017年9月15日)
- 19位 KNT-CTグループが大規模な事業再編、社長交代・分社・吸収計画を発表、個人旅行はクラブツーリズムに集約へ(2017年4月26日)
- 20位 「るるぶトラベル」装ったウイルス付きメールが拡散、JTBや警視庁が注意を呼びかけ(2017年5月16日)
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トラベルボイス編集部 山岡薫