ANAグループ入社式2018、片野坂CEO「安全がすべて」、新入社員数は約2700人

ANAグループは2018年4月1日、2018年度入社の新入社員のグループ合同入社式を実施した。新入社員数はグループ36社で約2700名。グループCEO片野坂真哉氏は新入社員に向け、まず「安全が全て」という言葉を心に刻んでほしいと強調。社員ひとりひとりが「安全は経営の基盤であり社会への責務である」ことを忘れてはならないとの理念を共有した。

メッセージは以下のとおり、概要全文を掲載する。


2018年度ANAグループ入社式 片野坂グループCEO挨拶(概要)

~安全が全て。ANAグループの一員として一緒に未来に向かって進もう~

ANAグループ36社、約2700名の新入社員の皆さんへ、ANAグループを代表して、皆さんの入社を心から歓迎します。本日、この場において、深く胸に刻み込んで欲しいことがあります。

それは、ANAグループにおいては、「安全が全て」この一点です。

「安全は経営の基盤であり社会への責務である」全てのANAグループの役員、社員が片時も、忘れてはならない「安全理念」です。

大田区下丸子にあるANAの研修所の中に、安全教育センターがあります。

皆さんが、生まれるずっと昔、60年前の静岡県下田沖事故、58年前の名古屋小牧空港事故、52年前の羽田沖事故と松山沖事故。47年前の雫石事故。全ての事故でお客様と乗務員の尊い命が犠牲となりました。19年前の全日空札幌行61便がハイジャックされ、一人のパイロットの尊い命が奪われた事件もありました。

安全教育センターでは、航空機の事故の悲惨さを私達に教えてくれます。

航空機やエンジンの性能が向上し、航空機の安全性は大きく高まっていますが、残念ながら航空機の事故は無くなってはいません。原因の中には、ヒトはミスをするものであるという事に起因する、いわゆるヒューマンエラーも、大きな割合を占めています。だからこそ、社員一人ひとりが、安全を創る、お客様の安心を生み出すことを第一に日々業務に励んでいます。

この晴れがましい入社式の冒頭に、私は毎年航空機の事故の話をします。それは、CEOの私を含め、現在の役職員の中で、大きな事故を経験したものがいなくなっているからです。人間の鍛錬において、経験を重ねることが大切だとよく言われますが、航空機の事故に関しては、それはあてはまりません。私たちは、過去の事故を常に思い出し、犠牲となった方々のご冥福を祈る気持ちを全グループ社員で共有し、事故の教訓に学び、そして絶対に事故を起こさないという信念のもと、全員で努力してきました。

そしてもうひとつ理解していただきたいのは、「安全」という言葉には航空機の安全運航はもとより、日常業務における社員一人ひとりの安全、お預かりした貨物の安全輸送、ANAケータリングサービスが調理する機内食や全日空商事が販売する食料品、物品に関わる安全や安心も含まれます。

また私達は、航空券や旅行の販売を通じてお客様の大切な個人情報をお預かりする立場にあります。不注意で大量の個人情報が流失し、大きな企業が社会からの信頼を失い、経営危機に陥ってしまうこともあります。

皆さん、もう一度、胸の中で復唱してください。「安全が全て」であると。

成長戦略の実現に向けてグループの力を結集

さて次に、ANAグループの「今」、そして「未来」の話をしましょう。本年2月に2018‐2022年度ANAグループ中期経営戦略を発表しました。東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までに、私達ANAグループは、お客様満足と価値創造で世界のリーディングエアライングループを目指すという現在の経営ビジョンを達成したのち、次なるビジョンを創り未来へ向かう5年間の成長戦略です。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、羽田、成田の首都圏空港の発着枠が拡大されます。私達にとっては、大きなビジネスチャンスとなります。この成長戦略を支えるのは、もちろん、ここに集った約4万人の社員です。

ANAグループが世界のリーディングエアライングループとして飛躍していくためには、ここにいるグループ各社の仲間たちとのチームワークなしでは、実現できないということです。

未来社会に向けて新たなチャレンジを

1986年、今から32年前、ANAは悲願の国際定期便への進出を果たしました。

現在19ケ国、42都市に就航。国内線、国際線合わせた年間旅客数は約5200万人。世界第15位となるまでのエアラインに成長することができました。

世界最高のSKYTRAX5スターを6年連続で受賞し、また米国業界誌であるAir Transport World誌による「Airline of the Year 2018」にも輝き、ANAの平子社長が先日、アイルランドでの表彰式に参加してくるなど、外部から高い評価をいただいています。

しかしながら、今のポジションに安穏としていることは許されません。もう次のチャレンジは始まっているのです。今や日本も世界も、とてつもない速さで変化し続け、新しい社会に向かっています。人口減少、人手不足、女性・シニアの社会進出が進む中、周囲の協力も不可欠です。

ANAグループは、シニア、女性、外国人、LGBT、障がいのある方々など多様な人材が活躍できる環境を整えるべく、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組んでいます。

電気自動車、自動運転、ドローン、ロボット、バーチャルリアリティ、AIにフィンテック。続々と生まれる新しい技術によって、超スマート社会「Society5.0」という未来社会に向かっていきます。

ANAグループでは、様々なイノベーションを活用して、新しいお客様のニーズに合わせた商品・サービスを生み出し続けるとともに、社員一人ひとりが持つ能力・強みをより発揮できるような、「技術でお客様が輝く、技術で社員が輝く」という楽しく、わくわくするようなANAグループらしさを、日本人だけでなく世界のお客様に感じていただきたい。その思いを胸に、「安心と信頼を基礎に、世界をつなぐ心の翼で、夢にあふれる未来」を創っていきましょう。

「未来は一人では創れない。しかし、未来に向かって動くことは一人でもできる。」

今日から、ANAグループの一員として、またそれぞれの会社の一員として「あんしん、あったか、あかるく元気!」に、一緒に未来に向かって進みましょう。

以上

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