欧州業界団体がルフトハンザ航空に抗議、流通手数料徴収で、EU当局の処分見送り判断に猛反発

主要GDS(旅行会社などが用いる予約・発券システム)やオンライン旅行業(OTA)が加盟する欧州テクノロジー&トラベルサービス協会(ETSSA)は2018年7月19日、ルフトハンザ航空(LH)が一部の流通チャネルに設定している手数料について、このほどEU当局が処分見送りとしたことを不服とし、欧州オンブズマンに「EU法に抵触している」との申し立てを行った。欧州オンブズマンは、EUの各組織に関する市民からの苦情などを受け付ける監視機関。

関係者によると、問題となっているのは、ルフトハンザ・グループの航空各社が2015年から設定した独立系OTAやGDS経由での航空券予約に対する16ユーロのサーチャージ。その後、この動きは、他の競合する欧州系航空会社の間でも広がっている。

こうした動きに対し、ETSSAでは同年9月、ルフトハンザの流通施策は、予約システム(CRS)経由での予約に関する公正な取引を定めたEU規約に違反すると当局に訴えていた。だが2018年5月、EU当局は「現在の規約は、市場環境に合わなくなってきており、今後、見直しが必要になる可能性もある」との見解を明らかにし、ETSSAの訴えを却下した。

3年近くの時間をかけて出た結論が事実上のゼロ回答となる事態に、ETSSA側は「非常に深刻な状況」であり、「競争を阻害する」と非難している。ETSSAの試算によると、過去3年間で消費者がルフトハンザに支払ったサーチャージは数億ユーロに達しており、「航空各社の運賃を比較可能な、中立的な流通チャネルを望む利用者が不利になっている。だがEU当局は、この状況を放置し、ルフトハンザや航空各社にお墨付きを与えている」と非難している。

クリストファー・クレナーETSSA事務総長は「今回のオンブズマン機関への申し立ては、始まりに過ぎない。公正な競争を管轄する関係当局にも、ルフトハンザや追随している大手航空会社のこれまでの施策や、今後、導入を検討している内容について、徹底的な調査を求める方針だ」とコメント。「EU法では、一部の消費者や、競合他社を排除するような差別的な施策は認められていない。欧州委員会は、EUの消費者が不利益をこうむらないよう対応策を講じるべき」と主張している。

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