沖縄県観光コンベンションビューロー(OCVB)は2020年2月18日、東京で「沖縄MICEセミナーと商談会」を開催した。
冒頭の挨拶でOCVB専務理事の親川達男氏は、2000年のサミット開催以降、沖縄でのMICE開催が年々増加し、2018年には前年比2%増の1238件に拡大した実績をアピール。産学官が連携した推進組織「MICEネットワーク」や、開催地として沖縄が提供できる価値を伝える「沖縄MICEブランド」をもとにサポート体制を整えており、「他の地域では味わえないオリジナリティに溢れる沖縄MICEを実現していく」と意欲を示した。
OCVB受入事業部MICE推進課主任の眞栄城佳名恵氏は、沖縄が選ばれる3つの理由として「寛容なヒトと土地」、「自然豊かなリゾート」、「アジアと繋がるビジネス拠点」という、歴史や風土、地理的条件に由来する独自の魅力を強調。インセンティブとミーティングを中心に、コンベンションも15%増の241件に伸びており、「学会やアソシエーション系のイベントでも沖縄が選ばれてきている」と強調した。
沖縄県では、振興計画である沖縄21世紀ビジョン基本計画でMICEを沖縄経済成長の基盤に位置付け、ビジネスと結び付けた発展を目指しているところ。
今後沖縄では、那覇空港の第2滑走路の供用開始で発着可能回数が現行の1.8倍となる24万回へ拡大するほか、ホテル客室数は本年内に初の5万室に達する見通し。2021年には1000名収容可能な宴会場を有するホテルや、1万人の収容可能な「沖縄アリーナ」の開業予定など、受入体制がさらに充実する見込みだ。
さらに眞栄城氏によると、MICE向け商材や支援体制に力を入れる事業者や地域も増加。
例えば、今回の出展者のなかでは、これまで修学旅行をメインに受け入れていた東村の「つつじエコパーク」が、本格的PA(プロジェクトアドベンチャー=冒険教室)施設を活かし、企業研修向けのチームビルディングプログラムを企画。インドの医学療法アーユルベーダ専門学校を基盤とするアーユルウェルネス社では、ホテルやパッケージツアー用にプログラムを提供してきた実績を活かし、MICE向けにアレンジした企画も開始した。
また、離島からの出展も多く、久米島町観光協会でもMICE誘致を強化。クリーンエネルギーとして期待される海洋温度差発電で、久米島に日本唯一の実証設備があることを切り口に、同施設の電力で動かす海洋深層水による化粧品工場や養殖場の見学、バーデハウス体験などを組み込んだプランなどを用意した。以前からMICE誘致をしているが、離島特有のアクセス面のネックがあるなかで、小規模の案件もあるMICEは久米島のキャパシティにあうことを再認識したことが推進を後押しした。沖縄県のMICE振興策は、県内事業者や地域観光協会の取り組みまで波及しているようだ。
なお、当日は出展企業のプレゼンや商談会のほか、MICE主催者が沖縄MICEの魅力や効果を語る講演も行なわれた。