国際航空運送協会(IATA)によると、2020年7月の世界の旅客需要は引き続き苦しい状況が続いている。需要を示す旅客キロ(RPK)ベースで前年同月比79.8%減、座席供給は同70.1%減。平均搭乗率も57.9%と低水準が続いた。
7月は、6月の同86.6%減からは改善しているものの、これは主にロシアと中国の国内線市場の回復によるもの。7月の世界の国際線需要は同91.9%減。前月の同96.8%減からは改善したが、依然として90%以上の落ち込みとなった。
ヨーロッパでは、シェンゲン協定地域で国境が開放され、国際線も再開されたことで、需要は6月の同96.7%減から同87.1%減と10ポイント近く改善。一方、アジア太平洋(同96.5%減)、北米(同94.5%減)など他の地域については、6月から状況はほとんど変わっていない。
このような状況のもと、IATAは改めて各国政府に対して、入国規制の解除と航空会社救済の措置を求めている。IATAのアレクサンドル・ドゥ ・ジュニアックCEOは「国民を守ることは政府の最優先事項だが、多くの国が、国境閉鎖がパンデミックに対抗する唯一の解決策だと考えている。各国政府は、感染防止をコントロールしながら、社会経済活動の再開に向けて協力するときだ」とコメントしている。
そのうえで、国際民間航空機関(ICAO)が世界保健機関(WHO)と協力して策定した安全な航空再開に向けたガイドライン「Take-off guidance」を実行すること、ICAO理事会の航空復興タスクフォース(CART)のもとで安全な国境再開に向けた共通のプラットフォームを構築すること、検査体制を拡充することを提案している。