2020年10月1日から8日間の中国の大型連休、国慶節では、期間中に人口の45%以上となる約6億3700万人が国内旅行を楽しみ、消費額は4666億元(695億米ドル/6兆9990億円)となった。中国文化観光省の調査結果をAP通信が報じている。
昨年同期比では、旅行件数が21%減、消費額が30%減とマイナスだが、新型コロナウイルスによるパンデミックから、消費者の旅行意欲が順調に回復していることを印象付ける数字となった。ただし「中国以外のマーケットでは、まだ回復状況は厳しい。パンデミックで職を失った人や収入が減った人が多く、消費行動には慎重になっている」と、リサーチ会社・フロスト&サリバンのアジア太平洋地区マネジングディレクター、シヴァジ・ダス氏は指摘している。
武漢でコロナ感染拡大が拡がった2020年1月末以降、中国では国内旅行や都市内での移動の制限が始まり、5月の連休は、国内の観光収入は前年比60%減に落ち込んだ。この時期と比べると、「中国の人々の消費意欲は大幅に回復している。パンデミックのコントロール、政府による消費刺激策、ビジネス活動が予想よりも早く再開したことが奏功した」とPwC中国消費マーケット担当トップ、ジェニファー・イエ氏は話す。中国では8月16日以降、国内でのコロナ感染例は報告されていない。
また、国慶節に旅行消費が回復した背景には、過去数か月、思うように買い物や旅行を楽しめなかった分を取り戻そうという「リベンジ消費」による押し上げ効果もあると同氏は話す。世界各地で渡航制限が続くなか、例年なら香港や韓国でショッピングをする客層が、今年は海南島へ。同当局側も、7月1日から免税品の購入限度額を拡大していた。現地のテレビ報道によると、連休の最初の5日間、同島での免税品の売上は5億3000万元(7800万ドル/79億5000万円) となった。
国内旅行の消費意欲をさらに盛り上げようと、地方政府やシートリップ、フリギーなどの旅行プラットフォームでは、観光アトラクションやホテル、パッケージ旅行の割引を積極的に展開している。シートリップによると、航空券、プライベートツアー、観光施設の入場券などの予約件数は、前年同期比の100%増、倍増の勢いとなっている。
※人民元円換算は1人民元15円でトラベルボイス編集部が算出