ANAホールディングス代表取締役社長の芝田浩二氏が、2025年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
芝田氏は、中期経営戦略の最終年度である2025年は、ANAによるストックホルム、イスタンブールへの路線開設や国内線と国際線の旅客サービスシステムの統合(UIUXプロジェクト)など、グループの成長に向けて準備をしてきた挑戦を具現化すると説明。現行の中期経営戦略の経営テーマである「成長軌道への回帰」を確実に実現し、2026年からの新たな中期経営戦略での飛躍に向け、矢を放つ前の引き絞った弓のように、力を撓(たわ)めて備えていくと述べている。
発表された内容は、ANAグループの年始式での年頭挨拶の骨子をまとめたもの。原文のまま掲載する。
年頭所感 ~2026年につなげよう
令和7年、2025年の年頭にあたり、ANAグループの皆さんにご挨拶申し上げます。
昨年は、年明け、そして年の瀬、国内外で痛ましい航空機事故が続きました。事故に遭われた方々に心からのお見舞いと、哀悼の意を表します。
我々ANAグループにおいても、昨年は幾つかの不安全事象の報告を受けました。新年を迎えるにあたり改めて、ANAグループの安全理念にある「安全は経営の基盤であり、社会への責務である」の思いを強く致したところです。
航空の安全はもとより、職場の安全や、個人情報保護、システムの堅牢性、食の安全など、一分の隙もないよう役職員一丸となって取り組んでいきましょう。
昨年はまた、生成AIの進化や航空産業におけるサプライチェーンの乱れ、アメリカ大統領選挙でのトランプ氏の勝利、シリア・アサド政権の崩壊、韓国戒厳令の発令など、世界では多くの変化が現れた年でもありました。
ANAグループを取り巻く経営環境は、日本国内のみならず世界の地勢学、政治、経済情勢、そして技術革新に大きく左右されるところであり、私たちは常に変化に対して感度を上げ、即応していく必要があります。
国内・国際という区分けが融和してボーダーレス化が進む世界の航空市場を牽引するエアライングループとして、一層の成長を支える原動力はANAグループ42000人の一人ひとりの貢献です。自らを高め、それぞれの思いを声に出し、仲間と共に考え、一緒に行動に移していきましょう。
今年は、ANAによる昨年12月のミラノに続く、ストックホルム、イスタンブールの路線開設や日本貨物航空(NCA)のANAグループへの仲間入り、羽田空港第2ターミナル北側サテライトの本館接続、国内線と国際線の旅客サービスシステムの統合(UIUXプロジェクト)など、これまで準備を進めてきたANAグループの成長につながる挑戦を具現化していきます。
また、4月から半年間、大阪・関西万博が開催され、世界中から多くの外国人の来訪が見込まれています。ANAグループとしても万博成功に向けて尽力するとともに、ANAグループの最高品質を世界に向けて発信する機会としていきたいと思います。
2023年を起点とする中期経営戦略は今年最終年度を迎えますが、総じて当初計画に沿って順調に推移しており、厳しい事業環境の下これを支えたこれまでの皆さんの献身的な尽力と貢献に、改めて感謝いたします。
2023年は「跳ね」、2024年は「躍動」の思いをお伝えしましたが、2025年に向けては「撓」の一文字に思い至りました。
今年は中期経営戦略の経営テーマである「成長軌道への回帰」を確実に実現するとともに、攻撃前に身をたたむハブや矢を放つ前の引き絞った弓の如く、力を「撓(たわ)めて」、2026年からの新しい中期経営戦略での飛躍に向け、しっかり備えてまいります。
世界中のグループ社員、みんなで力を合わせ、夢にあふれるANAグループの未来に向かって一緒に頑張っていきましょう。