2022年度上半期の貸切バス業の倒産は9件、過去30年で最多、コロナで事業継続を断念 ―東京商工リサーチ

東京商工リサーチは、2022年上半期(1~6月)の貸切バス業倒産状況(負債1000万円以上)を発表した。それによると、倒産件数は前年同期と同じ9件で、上半期では1993年以降の30年間で最多件数となった。このうち、8件は新型コロナ関連倒産。長引くコロナ禍でインバウンドの消失、国内旅行の激減で大打撃を受けている貸切バス業界の苦境を反映している。

茨城県の総和観光(負債7億円、1月破産)は、社員旅行、研修旅行、老人会・町内会旅行のほか、中国・台湾など海外の旅行ツアー会社と結びつきを強めていたが、コロナ禍で一気に客足が途絶えた。また、中小・零細企業の倒産も少なくなく、負債額別でも1億円未満が6件だった。9件すべて破産で、再生型倒産は9年連続で派生しなかった。コロナ禍の人流抑制や外出・旅行自粛などの新しい生活様式の広がりで業績回復が遅れ、事業継続を断念するケースが目立つ。

東京商工リサーチは「コロナ禍で国内外の移動制限が広がり、現状の苦しさに加え、先行きの見通しも厳しいことから事業継続を断念するケースが大半を占めている」と指摘。「コロナ関連支援策の効果が薄らぐなか、燃料費上昇、人手不足などの深刻な問題がのしかかる貸切バス業界は倒産だけでなく、廃業の加速も懸念される状況が続いている」と懸念を示している。

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