世界大手の旅行予約エクスペディアのアジア戦略とは? 「日本の海外旅行復活」と「中国の再成長」に注目、カギは新たな会員プログラム【外電】

世界大手の旅行予約エクスペディアの、アジア太平洋地区における重要な戦略は、ロイヤリティ会員とアプリユーザーを増やすとともに、B2Bビジネスを拡大させることにある。観光産業ニュースメディア「フォーカスワイヤ」が報じている。

ロイヤリティプログラムについて、同社のピーター・カーンCEOは決算報告の中で「我々のロイヤリティ戦略が十分に機能していることが明らかになってきた。今後、他のブランドや米国以外の市場でも積極的に展開していく」と話している。

同社は新たなロイヤリティプログラム「OneKey」を立ち上げる準備を進めている。これにはバケーションレンタル「Vrbo(バーボ)」を含む主要なブランドをカバーすることになる。

同社アジア太平洋市場マネージメント担当副社長のマイケル・ダイクス氏も、その方向性を支持している。同氏はアジア太平洋でのロイヤリティメンバーの数を明らかにしなかったが、「北アジアでは、需要の60~80%はロイヤリティ会員によるもの。2019年との比較で2022年には60%増加し、モバイル会員については40%増加した」と明かした。

中国の再成長と日本の海外旅行の復活がカギ

エクスペディアの収益においてアジア太平洋は重要な市場になっている。2022年第4四半期には検索数が前年比10%増加したが、その多くはアジア太平洋での検索だったという。

ダイクス氏は「中国はアジア太平洋での予約の20~30%を占めていたため、ゼロコロナ政策の中、その穴をどのように埋めるか心配していた。そのため、インドとインドネシアでの開発を進めてきた。これまでのところうまくいっている」と話す。

また、日本の海外旅行市場についても言及。「さらに勢いが増すと期待している唯一の市場が日本。おそらく、国内旅行向けの全国旅行支援が終わるにつれて、日本人海外旅行者は増えていくのではないか」と見ている。

2022年の北米でのアジア太平洋に関する検索は2019年比で20%増加し、アジア太平洋域内でも2019年の水準を上回っているという。ダイクス氏は「中国の国境開放された今、ロイヤリティプログラムがさらに重要になる」との考えだ。

旅行先を選ぶ傾向にも変化が表れてきた。2022年はモルディブ、香港、フィジーが人気だったが、2023年になると「東京、大阪、バンコク、ソウル、バリなど伝統的に強い都市が戻ってきた。旅行者はビーチから都市に戻りつつある」(ダイクス氏)。

日本では外資系が値上げを牽引する可能性

ダイクス氏は、日本の宿泊施設事情について、人材不足の課題を指摘。サービスレベルを落としたくないために、稼働率を抑えているところもある。「日本の宿泊施設は難しい立場にある。国内需要とインバウンド需要のバランスを取る必要があるが、国内のホテルチェーンは、料金を上げると従来の顧客が離れてしまう、と話している」と明かす。

一方で、日本では外資系ブランドの新しいホテルが次々とオープンしている。そうした外資系は、しがらみがない分、新しい価格を設定できる。ダイクス氏は「個人的には、それは旅行業界にとっていいことだと思う。他の宿泊施設も追従し、経済全体を引き上げていくことにつながる可能性がある」と話した。

※この記事は、世界的な旅行調査フォーカスライト社が運営するニュースメディア「フォーカスワイヤ(PhocusWire)」から届いた英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

オリジナル記事:EXPEDIA LOOKS TO ASIA PACIFIC TO REBUILD BUSINESS IN REGION

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