沖縄振興開発金融公庫調査部はこのほど、レポート「訪日外国人旅行者のサステナブルツーリズムへの意向と沖縄観光」をまとめた。日本政策投資銀行(DBJ)と日本交通公社(JTBF)が実施した「DBJ・JTBF アジア・欧米豪訪日外国人旅行者の意向調査(第3回 新型コロナ影響度 特別調査)」のデータ提供を受けて、沖縄観光について分析したもの。
これによると、さまざまなサステナブルツーリズムに対する意識調査では、欧州諸国で高く、日本をはじめアジア諸国では低い傾向にあるが、今回の調査では、アジア居住者でもサステナブルへの意識が高まっており、同調査部は「沖縄訪問希望者にもサステナブルな取り組みに関心が高い人がいることを認識する必要がある」と指摘している。
沖縄訪問希望者のサステナブルな取り組みに対する意向を、回答者全体と比較して世代別に見ると、アジア居住者では、「重視する」「どちらかといえば重視する」の合計は、どの世代も沖縄訪問希望者の選択率が高い。特にベビーブーマー(55~59歳)の「重視する」が全体の32%に対し、沖縄訪問希望者は43%と10ポイント以上高かった。一方、欧米豪居住者では、X世代(40~54歳)とベビーブーマーの沖縄訪問意向者の選択率が全体を上回った。
同調査部では、沖縄訪問希望者には比較的年収や学歴が高い所得層が多く、「沖縄=ビーチリゾート(自然環境が観光資源)」というイメージを持つ人も多いと推測されることから、サステナブルな対策への期待も大きいと分析している。特に、沖縄でサステナブルな取り組みを重視する理由として、「環境自然の保全等に配慮したいから」「訪問地行きの伝統文化資産等の保護継承に貢献したいから」という意見が全体に比べて多かった。
また、県内の自治体や事業者がサステナブルな取り組みを実践する背景には、「地域資源を次の世代に残すことを意識しながら、観光で地域を豊かにすること」を目標・目的としている点があると指摘。そのうえで、事業者や自治体、県民が「サステナブルな取り組み」をそれぞれ実践していくことが大切となり、それが沖縄県や国が目指す「持続可能な観光地域づくり」につながるとまとめている。