いつもならクリスマスに向けて観光客で賑わうヨルダン川西岸パレスチナ自治区のベツレヘムは今年、イスラエルとハマスとの戦争の影響を受けて閑散としている。
アレクサンダー・ホテルのオーナー、ジョーイ・カナヴァティさんは「誰も来ない。史上最悪のクリスマスだ。クリスマスツリーも喜びもなく、クリスマスの精神すらない」と嘆く。イエス・キリストの生誕地とされるベツレヘムの経済は、世界中からの巡礼者や観光客で成り立ってきた。
カナヴァティさんは、戦闘が始まる前までは、クリスマス期間の予約はいっぱいだったと明かす。しかし、戦闘開始以降、来年の予約も含めて、すべての予約がキャンセルされた。「メールで受け取るのはキャンセルの知らせだけだ」とカナヴァティさんはため息を漏らす。
ベツレヘムの「飼い葉桶広場」では、ほとんどの土産物店がシャッターを下ろしている。ほとんど人がおらず、静まり返っている。
十字架や聖母マリア像などを販売する店を家族で経営するロニー・タバシュさんは「巡礼者や観光客が一人も来ない状態がもう2カ月近く続いている」と話す。レストランのオーナー、アラア・サラメさんは、観光客でなく、地元の人たちのために店を開けている。席は10~15%しか埋まらないにもかからずだ。「仕事が必要なスタッフのために店を開けている。彼らは家族を養うお金をどこから得ればいいのか」と語気を強める。
「とにかく平和を祈っている。ベツレヘムは平和が生まれた街。世界中に平和が広がる場所でなければならない」。
※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。