2024年の米国旅行市場、リベンジ需要に一服感、健全な状態続くも成長率は減速、最後の砦は「中国市場」か

写真:ロイター通信

2024年の旅行業界のキーワードは「通常(normal)」になりそうだ。パンデミック後、「リベンジ旅行」の時期が続いたが、大手ホテルチェーンのヒルトンやマリオット、大手OTAエクスペディアなどは、今年の需要の伸びは鈍化すると予想している。

エクスペディアのピーター・カーンCEOは、投資家に対して「旅行需要は比較的健全な状態が続くと予想しているが、世界全体の成長率は減速するだろう」と説明した。

マリオットは、1室あたりの収益が2023年に15%近く伸びたが、今年は3~5%の伸びにとどまると予想。ヒルトンも、2023年の12.6%増から今年は2~4%増にとどまると見ている。マリオットのアンソニー・カプアノCEOは投資家に対して「パンデミックからのリバウンド需要は弱まる」と話した。

株価を見ると、マリオットは2023年に51.46%上昇したが、今年はこれまでのところ3.4%の上昇と頭打ち。ヒルトンも状況は同じで、2023年は44.10%上昇したが、現在は3.3%の上昇に過ぎない。

商業不動産分析会社コスターによると、2023年の米国の1室あたりの平均収益は97.97ドル(約1万4700円)で、前年から4.9%増加。平均料金は4.3%増の155.62ドル(約2万3300円)となっていた。

収益予想は芳しくないものの、ジェフリーズ社が米国の旅行者約500人に行った調査によると、2024年の旅費は前年比3.5%増加する見込みにも関わらず、1人あたり平均年4.9回の旅行を計画しているという。これは、2019年の水準よりも2%多い。

一方、エアビーアンドビーは、海外旅行の押し上げ効果によって、2024年第1四半期の収益がウォール街の予想を上回ると明らかにした。予約数は2023年第4四半期に比べて鈍化するものの、1日あたりの平均宿泊費は、前年同期比で横ばいか若干上昇すると予想している。

同社はまもなく2023年第4四半期の決算を発表する。それによって、宿泊業界の現状を改めて知ることができるだろう。

エクスペディアは、2023年の売上高が前年比10%増加したが、2024年の成長率は1桁台半ばによると予想している。

米国大手銀行トゥルーイストの株式アナリスト、パトリック・ショールズ氏は「ホテル業界にとって、2024年は2019年以降で初めて『通常の年』に戻るだろう」と見込み、「最後の砦となるのは中国市場」との見方を示した。

また、アナリストたちは、航空運賃の上昇も軟化すると予想する。OTAホッパーのデータによると、2024年1月の米国国内航空運賃の往復平均価格は273ドル(約4万1000円)。前年からは1.8%上昇したが、2019年比では2.2%の下落となった。

※ドル円換算は1ドル150円でトラベルボイス編集部が算出

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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