多くの中国人旅行者が、春節の大型連休中にアジア各地の人気の観光地を訪れた。シンガポール、タイ、マレーシアなどでは、中国人旅行者数も支出額もコロナ前を上回った。
中国政府が2023年初頭に3年間封鎖していた国境を開放して以降、主に東南アジアへのビザなし渡航は増え続けている。観光に依存している国々にとっては歓迎すべきことだが、中国国内の景気低迷や消費マインドの低下が、海外旅行の持続的な回復にどのような影響を及ぼすかはまだ見通せない。
大手オンライン旅行トリップ・ドットコム(Trip.com)によると、2024年2月10日から17日までのシンガポール、タイ、マレーシアへの予約は合わせて2019年比で30%以上急増し、香港、マカオ、日本、韓国への中国人観光客も増加した。
旅行プラットフォームLY.comによると、ビザ免除による追い風によって、2月10日から13日までの期間、バンコクのホテル予約は前年比3倍、シンガポールでは9倍に急増した。
また、アリペイによると、モバイル決済プラットフォーム「アリペイ」によるシンガポール、タイ、マレーシアの合計支出は、2月9日から12日までの期間で2019年同期比で7.5%増加し、昨年と比べるとほぼ7倍となった。しかし、全体的な消費支出は4年前の水準の82%までしか回復していないという。
中国人旅行者は、より体験重視の旅行を求める傾向が強まっており、アリペイのデータでは、コロナ以前と比べて飲食に70%多く支出した。また、トリップ・ドットコムによると、同社プラットフォームでのレンタカー予約は2019年比で53%増加、自然体験のチケットは130%以上増加したという。
2月、マカオのカジノ総収益は過去最高額に
春節期間中にマカオを訪れた中国人旅行者は100万人を超え、ホテル平均稼働率は95%に達した。JPモルガンは、春節中の1日あたりのカジノ総収益は4年ぶりに1億2400万ドル(約186億円)に達し、2月の1ヶ月の総収益は少なくとも前年比80%増の23億6000万ドル(約3540億円)となり、過去4年で最高額になると予想している。
香港にも120万人以上が訪れた。団体旅行は約1980組にのぼり、ホテル稼働率は、休暇期間の最初の数日で90%に達した。
韓国へは2019年比4%増の約11万4000人が旅行。ある旅行代理店は、団体旅行ではなく個人旅行の傾向が強まり、人気観光地へのパッケージ旅行は減っているという。
さらに、新しい傾向として中東への旅行も増加。トリップ・ドットコムは、春節期間中、サウジアラビアへの旅行予約は2019年比で9倍、アラブ首長国連邦は60%増加したことを明らかにしている。
※ドル円換算は1ドル150円でトラベルボイス編集部が算出
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